21世紀に向けたソニーの企業改革


Apple社の暫定CEOスティーブ・ジョブス(Steve Jobbs/1954〜)がMACWORLD Expo/Tokyo '99で来日したときに、テレビでのインタビュで尊敬していると言ったソニーが1999年3月9日にURL(http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199903/99-030/index.html)で発表した、企業改革の内容。このニュースリリースが発表されると、一斉にニューヨークでの株取引で日本企業の株価が高くなったと言われ、ソニーの国際的な影響力が実証された。世界で評価された企業改革内容であることから、ここに全文を掲載する。ソニーは2006年1月26日にソニーグループの2005年度第3四半期業績を発表し、「特定ビジネス分野の収益改善プラン」として、「エアボード」「車載機器」「プラズマテレビ」「ブラウン管テレビ」「QUALIA」「エンタテインメントロボット」「業務用機器」の改善策をとることで、2007年3月期の損益は前期に比べて500億円ほど改善すると予測し、AIBOやQRIOなど、エンターテインメントロボット事業を撤退すると発表した。詳細情報はURL(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/index.html)で知ることができる。ニューヨークタイムズ(New York Times)は2006年5月28日に、ソニーの未来について、「Howard Stringer, Sony's Road Warrior」と「Cutting Sony, a Corporate Octopus, Back to a Rational Size」を公開した。「Howard Stringer, Sony's Road Warrior」はマネーの欄で、コングロマリットを変え、革新と収益性に向かってそれを動かすために、ソニーの最高経営責任者として1年前に就任した Howard Stringerのことで、現在ソニーのコンサルタントである元I.B.M.議長ルイス・ガースナー(Louis Gerstner)は、「ソニーの基本的な問題は、テレビの利益とプレイステーション3のタイミングと関係ありません」と言い、「問題は、すべてが異なった技能と市場にどう近づくかに関する感覚と、消費者と共にソニーが、どうMicrosoft 社とApple社のような会社、従来からの伝統的な企業に対する競争手段を処理するかということです。」と問題を指摘した。そこでソニーは2005年秋に、Apple社の上級管理職であったTim Schaaffをソフトウェア開発を監督するために雇ったと解説している。また、技術欄にある「Cutting Sony, a Corporate Octopus, Back to a Rational Size」では、ソニーが日本と海外でビジネス・エリアを膨大に拡大し、工学革新者としてのオリジナル・アイデンティティがぼけてきていることを指摘した。確かに、ソニーは半歩前を進み、多くの驚きを消費者に与えてきた。それは、現在のApple社が得意とする部分になり、ソニーはApple社の真似をしていると非難された。これは松下電器が、うちにはソニーという研究所があり、それを真似て、松下電器の全体的な販売力で勝てる豪語ていたことを思い出す。しかし、ソニーはApple社と松下電器の真似をして、両方で失敗している。また、ソニーは新しいことに挑戦すると言って、以前なら半歩前を見ていたが、とんでもない先に目を向けて大失敗している。ソニーは知的コンプレックスから、東大出という学歴重視の社員を幹部候補生に雇いすぎ、頭でっかちになったことが原因だろう。それでも革新的な技術開発が実現しないからと言って、外部から優秀な人材を引き抜いてきた。全体に、コンプレックスのパッチワーク状態で、地に足が付いていないような気がする。半歩先を見ると、ソニーらしい革新はいっぱいあるのに、人の真似をして、とんでもない先に目を向けて、失敗していることに気が付かない間は、復活できないことだろう。ソニーは2006年6月9日に、AIBOを開発するなど、ロボット関連技術などの研究開発をしてきたソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所(Sony Intelligence Dynamics Labortoreis)の活動を2006年7月20日付けで終了すると発表した。

[全文]
報道資料
1999年 3月 9日

21世紀に向けたソニーの企業改革
〜ソニーグループの企業価値創造を目指して〜

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 ソニー株式会社は、デジタル・ネットワーク時代の新しいビジネスチャンスを捉え、21世紀に向けて飛躍を遂げるため、企業改革を強力に推進してまいります。この度の改革は、ソニーグループの企業価値を高めることを経営の根幹に置き、自主性・自律性を一層高めた事業ユニットと、強い求心力をもつ本社により、グループ内の経営資源が相互に影響し合って新しい価値を生み出すといった、「統合・分極型」の経営モデルの構築を目指すものです。

今回発表の改革骨子は次のとおりです。
□エレクトロニクス事業の強化・再編
□グループ子会社3社の100%子会社化
□グループ経営の強化

エレクトロニクス事業の強化・再編

ソニーは、次の施策を実行することによってエレクトロニクス事業の強化・再編を図ります。
(詳細は、 別添 「ソニーグループ組織概要」「各事業ユニットのミッション・事業領域」参照)

1. エレクトロニクス事業の組織・再編
4月1日付で現行のカンパニーを3つの事業ユニットに括ります。さらに、コンピュータエンタテインメントを加えた4つの事業ユニットを、エレクトロニクス事業のコア(核)と位置づけます。
□ホームネットワークカンパニー
□ パーソナルITネットワークカンパニー
□ (株)ソニー・コンピュータエンタテインメント
□ コアテクノロジー&ネットワークカンパニー

 各事業ユニットには、本社より研究部門、専門機能部門を移管し、「ボード」と「マネジメントコミッティ」を設置した上で、今まで以上に権限の委譲を進め、現行カンパニー制のメリットを活かしながら自主・自律した事業経営が可能となるようにいたします。また、事業ユニット内、或いは事業ユニット間で、必要に応じてカンパニーの持つ技術・ノウハウを結集し、ベンチャーカンパニーを随時設立します。これによりデジタル・ネットワーク環境下における新規事業を機動的に創出する体制をとります。

2. ネットワーク事業への取組み
将来のネットワーク関連事業の創出に向けて、グループ本社直轄の「デジタルネットワークソリューション(DNS)」を設置し、事業戦略の立案、必要な技術開発、ビジネスモデルの構築を担当します。お客様がソニーにアクセスできるネットワーク事業のプラットフォームを構築し、映画・音楽を始めとするデジタルコンテンツ、保険やファイナンスのサービス等の提供を目指します。

3. 収益改善のための施策を継続
エレクトロニクス事業の収益を拡大するために、製造事業所の再編、サプライチェーンの構築、人材の再教育・再配置と人員調整に引続き取組んでいきます。製造事業所の再編については、現在の事業所数70ヵ所を2002年度末までにおよそ55ヵ所まで集約していきます。人材については、アナログからデジタル、ハードからソフトへ再教育・再配置をするとともに、若手の登用を推進します。また、ソニーグループ在籍者およそ17万人を、2002年度末までに約10%削減するなど、人員調整についても積極的に進めてまいります。

グループ子会社 3社の100%子会社化

 グループ企業の自主性を尊重しながら、相互の協力関係を深め、グループの今後の戦略をより迅速に実施できる体制を整備します。株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SMEJ)、ソニーケミカル株式会社(以下、ケミカル)及びソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社(以下、SPT)は、2000年1月1日を目処にソニー(株)の100%子会社といたします。100%子会社化は、本年の通常国会で審議される予定の商法改正案に盛り込まれている株式交換制度を活用する予定です。ただし、改正法の施行時期および関連法令の整備状況によっては、現行法下で可能な方法を取ることも検討していきます。

(1) SMEJ
ネットワーク時代を見据えて、音楽事業のダイナミズムを取り戻し、収益機会拡大を図るためには、長期的視点から既存事業を再構築し、新規事業に取り組んでいくことが求められています。そのため、自主・自律を重んじながらもエレクトロニクスとのシナジーを強めていきます。また、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントは、SMEJの100%子会社化に伴ないソニーの実質100%子会社化となります。

(2) ケミカル
接合材料や電子部品の事業分野のうち、特にプリント基板ビジネスは、グループ内の基板・実装関連事業と連携、新規事業を開拓し、より幅広い基板事業の展開を目指します。また、レコーディングメディアやバッテリーも、ソニー(株)との製販直結により最適な生産体制構築とサプライチェーン強化を図ります。

(3) SPT
工作・産業機械向けの超精密計測・記録技術を、ソニーの超精細領域技術と融合し、ディスクや半導体関連検査・計測装置に関するビジネスの拡大を図ります。また、ソニーグループの生産システム関連ビジネスとの連携強化によるシナジー効果によって、総合生産システムメーカーへの発展を図ります。

グループ経営の強化

ソニーは、企業価値の創造を経営の根幹に据えた新しいグループ戦略本社を構築し、グループ戦略機能の強化、スピーディな意思決定により、ソニーのグループ経営の強化を図ります。(図省略)

1.経営(意思決定と監督)と執行のさらなる分離
ソニーは、97年度に取締役会改革と執行役員制の導入を行いましたが、経営(意思決定と監督)と執行の分離をさらに推し進めるため、業務執行機関であるマネジメントコミッティのメンバーを兼務する取締役を減らすよう、取締役メンバーの見直しをおこないます。さらに、企業価値の創造に向けた経営のチェック・アンド・バランス機能を強化することを目的として社外取締役の充実を図ります。
一方、マネジメントコミッティには、事業ユニット間の相互連携を強力に推進するため、事業ユニットの責任者を構成メンバーに加えます。

2.アクティブ・インベスターとしてのグループ本社機能の強化
現在の本社を、グループ本社機能と事業ユニットに対してのサービス提供機能に大別し分離します。グループの事業ユニットを統括するグループ本社は、必要最小限の規模に圧縮し、アクティブ・インベスターとしてグループ全体の企業価値最大化に向けて、スピーディでダイナミックに事業ユニットの再編、経営資源の再配分を進めます。事業ユニットへのサービスを提供する専門機能部門は、自主・自律した事業運営ができるように事業ユニットに移管していきます。
また、専門機能部門のうち経理、人事・総務、情報システムなど、市場原理の中で競争力を高めることによりサービスの質や効率性、収益性の向上を見込める機能については、将来の分社化を視野に入れながら、グループ本社との分離を進めてまいります。尚、人事部門の一部につきましては、4月1日付でソニー・ヒューマンキャピタル(株)(仮称)として分社化する予定です。
研究開発部門については、研究開発成果の迅速な事業化を必要とするテーマは事業ユニットに移管し、長期研究テーマ及びグループ本社が直轄する事業領域に関する研究テーマは本社直轄といたします。

3.新しい業績評価尺度の導入
企業価値創造の経営(Value Creation Management)を進めるためのベースとして、資本コストを正しく反映させた新しい業績評価尺度を1999年度より導入いたします。この尺度は、税引後営業利益から負債資本コストと株主資本コストを差し引くことで求められるEconomic Profitの概念に基づいたものです。グループ本社は、今後、各事業ユニットに対して企業価値創造の目標設定をおこない、この尺度により達成度評価をおこないます。 また、この尺度をソニーグループ全体の共通の業績評価尺度とし、報酬制度とのリンクも進めてまいります。

以上の企業改革の実行により、ソニーは再編強化されたエレクトロニクス事業をコアにして、音楽・映画のエンタテインメント事業、保険・ファイナンス事業を加えたソニーグループの総力をあげて、21世紀におけるデジタル・ネットワーク時代に向けた企業価値の創造に全力を投入してまいります。

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