ムーアの法則

Moore's Law


米国のIntel社社長であった共同設立者のゴードン・ムーア(Gordon Moore/現在は名誉会長/1929 )が「一定のシリコン上にエッチングできるトランジスタの数は18カ月ごとに倍になる」という、1965年にプロセッサの発達スピードを予測した法則の名称。つまり、マイクロ・プロセッサのコンピューティング・パワーも当然、18カ月ごとに倍になり、同じコンピューティング・パワーを買うために要する費用は18カ月で半分になる。だから、パソコンの価格は下がり続ける。最近ではそのスピードも加速し、「2週間前は一昔、2カ月前は原始時代」という言葉が、サイバースペースの世界ではあたりまえになりつつあり、遅れると多くの人に迷惑をかけることから、「遅いことは犯罪だ!」という人までいる。つまり、遅れても同じモノを同じ価格で販売した場合には、遅れた分だけ余分に支払わせていることになり、売った側は、買った側を騙したことになるという理論から出ている。ただし、ムーアの法則を信じすぎると、ソフトのバク取りといった未知数の行為が否定することになることも真実である。1997年9月30日にゴードン・ムーア名誉会長は、インテル開発者会議の基調講演で、「ムーアの法則の最新版(An Update on Moore's Law)」と題する講演を行なった。基調講演の全文はURL(http://www.intel.com/pressroom/archive/speeches/gem93097.htm)で読むことができる。
しかし、2005年以降はシリコンウエハー上にトランジスタを形成するために配線を刻む技術であるリソグラフ印刷技術が、物理的な限界に達してしまう。つまり、新しいリソグラフ印刷技術が開発されなければ、2005年以降は小型化やハイ・スピード化、低価格化は実現できなくなり、ムーアの法則自体が否定されることになる。テキサス大学(University of Texas)の研究者グラント・ウィルソン(Grant Willson)化学・応用化学科(Chemistry and chemical engineering)教授はデュポン・フォトマスク(DuPont Photomasks)社と共同で、0.08μ(8/100000mm)幅(Pentium IIで0.25μ)のウエハー製造に成功した。
この技術により、1800万個のトランジスタを内蔵した1500MHzの高速プロセッサの開発も可能になった。サンフランシスコで2001年2月6日から始まったISSCC(International Solid-State Circuits Conference)のオープニングでは、Intel社のCTOであるPat Gelsingerがオープニング・セッションの1つで、10年後、約30GHzまで伸びるクロックのグラフを提示し、「ムーアの法則」は今後10年間も健在であると断言した。ただし、2008年には1万ワットぐらいまでグラフが伸びていたことから、消費電力と熱が、どこまで耐えることができるかという問題が浮上した。Intel社の 「ムーアの法則」に関する情報はURL(http://www.intel.com/research/silicon/mooreslaw.htm)にある。
Intel社は2001年11月25日に、2005年の「ムーアの法則」を立証するTeraHertz構造の開発を発表した。詳細情報はURL(http://www.intel.com/research/silicon/)で知ることができる。Intel社では将来も「ムーアの法則」を立証し続けるための技術として、EUVリソグラフィ技術、テラHzトランジスタの開発に大きく貢献するというDepleted Substrate TransistorやDepleted Substrate Transistor、さらにBBULパッケージ技術が必要であると提唱している。802.3 Ethernet standards groupが提出した10 Gigabit Ethernet standardをIEEEは2002年6月14日に承認した。詳細情報はURL(http://computerworld.com/networkingtopics/networking/protocols/story/0%2C10801%2C72009%2C00.html?nlid=AM)で知ることができる。
1990年に10Mb/s Ethernetされ、1995年に100Mb/s Ethernet、1998年に1,000Mb/s Ethernet、2002年に10,000Mb/s Ethernetが承認され、これまで4年に10倍のスピードが承認されてきていることから、2006年には100GビットEthernet、2010年には1TビットEthernetが承認され、これは1年で倍になると予測したムーアの法則に匹敵するスピードで、CPUだけではなく、LANの世界でもムーアの法則が実証され始めていることになる。詳細情報はURL(http://www.ieee.org/portal/index.jsp)で知ることができる。
プリンストン大学(Princeton University)のスティーブン Y チョウ(Stephen Y. Chou)教授と技術者チームはイギリスの雑誌「nature」2002年6月20日号で、一般的に193ナノmが限界といわれていたフォト・リソグラフィに変わる技術として、凸状の活字をタイプライターで紙に打ち込むように、チップに物理的に刻印するタイプライター方式の技術を開発し、フォト・リソグラフィ技術がレーザー・プリンターにも採用されていることから、レーザー・プリンター技術よりときには古いタイプライター方式の方が優れている(Sometimes a typewriter is better than a laser printer)と、「STEPHEN Y. CHOU, CHRIS KEIMEL & JIAN GU:Ultrafast and direct imprint of nanostructures in silicon」を発表した。詳細情報はURL(http://www.nature.com/nlink/v417/n6891/abs/nature00792_fs.html)または、URL(http://www.princeton.edu/pr/news/02/q2/0619-ladi.htm)または、URL(http://www.ee.princeton.edu/~chouweb/members.html)または、URL(http://www.hotwired.co.jp/news/news/20020621301.html)で知ることができる。
Dylan Tweneyは2002年12月13日にBusiness 2.0で、ムーアの法則を見直す必要がでてきていることを指摘した「Does Moore's Law Still Hold True? --The doctrine that computing power doubles every 18 to 24 months has been considered gospel for the past three decades. Now it may be time for a new look.」を発表した。詳細情報はURL(http://www.business2.com/articles/web/print/0,1650,45941,00.html)で知ることができる。
Gordon Mooreがサンフランシスコで開催したISSCC(International Solid-States Circuits Conference)で2003年2月10日に講演し、ムーアの法則は今後10年は問題ない、壁にぶち当たるものは何もないと話した。経済産業省は2003年5月9日に、科学技術基本計画(平成13年3月閣議決定)において重点分野と定められた4分野を含む8分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティア)を中心に、14テーマを対象とした技術動向調査を実施し、平成14年度特許出願技術動向調査報告の公表について「-医用画像診断装置、フォトマスク-」を発表した。詳細情報はURL(http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0003999/)で知ることができる。
2003年7月18日に迎える、Intel社35周年記念日の3日前にあたる2003年7月15日に、Itanium 2プロセッサ、マレーシアの支社から寄贈された箸、Intel共同創設者のアンディー・グローブ会長が表紙になったTIME誌をタイムカプセルに詰め、埋められたが、ZDNetは2003年7月17日に、ゴードン・ムーアが「ムーアの法則」は、このタイムカプセルを掘り出すまでは続いているという予言を報道した。詳細情報はURL(http://www.zdnet.co.jp/news/0307/17/ne00_moore.html)で、Intel社35周年に関する情報はURL(http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20030715corp.htm)で知ることができる。
台湾積体電路製造(TSMC/Taiwan Semiconductor Manufacturing)社の創業者でCEOのモリス・チャン(Morris Chang)は2003年9月15日にTaiwan and China Semiconductor Industry OutlookカンファレンスのKeynoteで、ムーアの法則が進むにつれてfabの建設費用もふくらむことから、生産拠点としての中国の勢力拡大により、2005年末から経済的な壁に遭遇し、ムーアの法則は減速すると予測した。詳細情報はURL(http://www.taiwan-china-outlook.com/)または、URL(http://www.tsmc.com/english/default.htm)で知ることができる。
当然のことだが、Slashdeot.otgは2003年12月1日に、米国のIntel社の研究者Zhirnov,V.V.をはじめとするCavin, R.K.、Hutchby, J.A.、Bourianoff, G.I.の4人が、2018年までには16ナノm製造プロセスでの半導体製造が実現する予測されるが、その後にも1 2のプロセスが登場するかもしれないが、それが限界で「ムーアの法則」は終焉を迎えると指摘した論文「Limits to Binary Logic Switch Scaling--A Gedanken Model」をProceedings of the IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 2003のFlash Memories and Emerging Electronic Device Technologiesで発表したと報告した。技術戦略担当ディレクターパオロ・ガルジニ(Paolo Gargini)もこの理論を認める発言をしている。2003年12月2日に台湾で開催されるITRS(国際半導体技術ロードマップ)でも話題になることだろう。詳細情報はURL(http://slashdot.org/articles/03/12/01/2245235.shtml?tid=118&tid=137&tid=187)または、URL(http://www.msnbc.com/news/999894.asp)または、URL(http://www.ieee.org/portal/index.jsp?pageID=corp_level1&path=pubs/proceedings&file=prev03.xml&xsl=generic.xsl)または、URL(http://www.ieee.org/products/proceedings/scan_1103.pdf)または、URL(http://ieeexplore.ieee.org/xpl/tocresult.jsp?isNumber=27802&page=1)で知ることができる。
米国のIntelは2004年1月8日にラスベガスで開催された「INTERNATIONAL CONSUMER ELECTRONICS SHOW」のスピーチで、CEOのポール・オッテリーニ(Paul Otellini)が「ムーアの法則」をデジタル家電分野で展開すると発表した。詳細情報はURL(http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/20040108corp.htm)で知ることができる。
Intel社は、Pentium 4の開発計画を変更し、2005年に4GHzを発表する予定であったが、発熱の問題を解決できないことから、2004年10月に開発計画を中止した。これまではいろいろの方策を使って、CPUのスピード競争をあおってきたが、RISCと比較して、熱問題が開発当初から指摘されてきたが、いよいよ「CISC(死す苦とも書かれていた)」の限界がきたようである。でもIntel社は、あらゆる周辺技術を開発しながらCISCでここまでがんばってきたといえる。Intel社は4GHzのPentiumを開発しないと発表していることから、Pentiumで最高のクロック数である3.8GHzのPentium 4 570Jを2004年11月25日に発売した。詳細情報はURL(http://www.intel.com/jp/products/processor_number/info.htm)で知ることができる。
Intel社のpentium 4は3.80GHzで限界に達し、「ムーアの法則」の限界と騒がれているが、残るは複数チップを搭載することになり、家庭用パソコンにGridコンピューティングの技術導入という冒険の世界に入ることことになった。
CNET Japanは2005年3月2日に、Intel社の最高経営責任者(CEO)Craig BarrettがIDF(Intel Developer Forum)の基調講演で、従来のチップ製造技術は最小5ナノm(水素原子約50個分の幅)まで可能になり、それより小さくなると、漏れ電流が大量に発生するなどの障害が発生してくるが、障害にぶつかるたびに、優秀なエンジニアは問題を克服してきていることから、チップの性能はこの先何年も「ムーアの法則」に従って向上するとの予測を示したと報告した。詳細情報はURL(http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20081030,00.htm)で知ることができる。
コロンビア大学のグリエルモ・マルコーニ国際フェローシップ財団(Guglielmo Marconi International Fellowship Foundation)は2005年3月2日に、「ムーアの法則」提唱から40年ということで、Gordon Mooreに特別功労賞(Lifetime Achievement Award)を贈与すると発表した。詳細情報はURL(http://www.marconifoundation.org/pages/dynamic/news/ioi_details.php?ioi_id=9)で知ることができる。
Gordon Moore名誉会長は2005年4月13日にIDGに対してムーアの法則40周年に際し、「この法則が永遠には続くことはあり得ない。」とムーアの法則を自ら否定する発言をしたと報告した。詳細情報はURL(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0504/14/news052.html)または、40th anniversary of Moore's Lawの記念サイトのURL(http://www.intel.com/pressroom/kits/events/moores_law_40th/index.htm)で知ることができる。
また、Intel社はGordon Moore名誉会長が40年前に「ムーアの法則」について書いた1965年4月19日発行の技術誌「Electronics」の原本がIntel社の手元に1冊もないことから、eBayでUS$1万の懸賞金をかけた。ただし、同時に便乗派が一斉に同じ要求を掲載し、どれがどれだか判らなくなった。また、世界中の大学図書館では、賞金狙いから所蔵誌を狙われたことから、盗難防止に奔走することになったが、イギリスのエンジニアのデビッド・クラーク(David Clark)が自宅の床下で、ほかの雑誌の山の中から新品に近い状態で発見し、引き換えに賞金US$1万を獲得した。この賞金は娘の結婚資金にする(he plans to use the money to help fund his daughters' weddings.)と言うことである。
Gordon Mooreは2007年9月18日に、サンフランシスコで開催されたIDF(Intel Developer Forum)の中で行われた質疑応答で、問題は、過去40年間に半導体製造は大幅に効率化し、またチップの内部構造も大幅に小型化が進んだため、もはや改善の余地はほとんど残されていないと言い、「今から10年後、15年後に、われわれは極めて根本的な問題に直面する」と語った。
physicsworldは2008年4月17日に、イギリスのマンチェスター大学(Manchester University)の研究者Kostya NovoselovのグループがGraphene量子ドットから、初のトランジスタを開発し、Grapheneが電子装置のための次世代シリコンになる有望なマテリアルであると報告した。
Grapheneは、炭素原子の二次元シートであり、通常、石墨の小さい結晶を割くことによって、作られていると報告している。
接合ベンゼンリングの連続で、分子レベルでは、1枚の金網に似ているとイラストを紹介している。
Grapheneは、珍しい物理的性質のために、電子材料としてシリコンに取って代わるためにしばしば利用されてきた。
マテリアルの中の電子が相対論的粒子のように振る舞い、約106m/sの速度で移動する。
相対論的粒子には、静止質量が全くない。
メンバーKostya Novoselovは、「良いこととして、装置がいくつかのベンゼン環で、トップ・ダウン・モレキュラー・エレクトロニクスに必要とするGrapheneをスケーリングするとき、これらの特性が残っているということです。」と言っている。
現状で研究者は、Grapheneのリボンからトランジスタを作ることができただけであるが、長い形は伝導率を最大にしない。
大きいGrapheneシートを彫刻するのに、電子ビーム石版と反応プラズマ・エッチングの組み合わせて使用したと言っている。
Novoselovは、「私たちは標準の技術的な手順でgraphene量子ドットに基づくトランジスタを作成するのが可能であるという概念の証拠を示しました。」「その上、装置は室温で作動できるでしょう。」
と言っている。
チームの別のメンバーAndre Geimは、再現可能なトランジスタが将来は今より小さくすべきで、10nmから1nmくらい小さくできる場合があると、
「それは、トップダウンのアプローチを使用するモレキュラー・エレクトロニクスです。」
「他のどんなマテリアルも構造を室温で操作して、単電子トランジスタに必要である100nmより小さくするためのアプローチを許していません。」と言っている。
次世代シリコンのGraphene量子ドットで本格的なコンピュータができると、とんでもなく小型化したコンピュータも可能になり、ついに、ナノ・コンピュータ時代の可能性が大きくなってきた。詳細情報はURL(http://physicsworld.com/cws/article/news/33832;jsessionid=867E583AA72C783DC7C7341804BD5B6B)または、URL(http://kamen-jahr.livejournal.com/20862.html)または、URL(http://www.physorg.com/news91891899.html)または、URL(http://www.jiten.com/index.php?itemid=9487)で知ることができる。


ゴードン・ムーア(Gordon Moore/1929〜)
カナダ人が感じる迷惑なメール
Intel社のムーアの「ムーアの法則」
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米国のIntel社が2001年11月25日に発表したTeraHertz
Intel社の2005年に向けたトランジスタ開発計画
Intel社の2005年に向けたトランジスタ開発技術紹介
サイバー刑事法研究会報告書の概要
欧州評議会サイバー犯罪条約
GAOが2002年4月16日に公開したInformation Security
GAOが2002年5月2日に公開したInformation Securityに関するレポートと宣言書
Robert F. DaceyのFederal Information Security Management Act of 2002コメント
ベル研究所のトランジスタの定義
nature2002/6/20/Ultrafast and direct imprint of nanostructures in silicon
Stephen Y. Chou教授と技術者チームが開発した技術解説-Figure 1
Stephen Y. Chou教授と技術者チームが開発した技術写真-Figure 3
Stephen Y. Chou教授と技術者チームのリリース
Stephen Y. Chou教授と技術者チームの図版解説
ホワイトハウスが2002年9月18日に公開したcyberstrategy-draft
ホワイトハウスの2002年9月18日cyberstrategy-draftニュースリリース
Does Moore's Law Still Hold True?
経済産業省が2003年5月9日に発表した医用画像診断装置とフォトマスク情報
平成14年度特許出願技術動向調査報告の公表について
Robert F. Daceyが訴えた法で定めた情報セキュリティ手段の必要性報告書
Intel社創業35周年に参加したAndy GroveとGordon Moore
タイムカプセルを埋めるPaul Otellini、Andy Grove、Craig Barrett、Gordon Moore
Intel社創業35周年パンフレット
Limits to Binary Logic Switch Scaling--A Gedanken Model
The Future of Nanocomputing
Guglielmo Marconi International Fellowship Foundationが2005年3月2日に公開したリリース
Illustrirte Zeitung1856年1月26日に掲載された化学者Justus von Liebig
ミュンヘンのJustus von Liebig研究所
Justus von Liebigの階段教室
eBayに登場したelectronics magazine april 1965 editionの購入希望掲示
40th anniversary of Moore's Lawの記念サイト