ネットワーク環境を理解していない判決/2005年


(「ネットワーク環境を理解していない判決/2004年」より続く)
イギリスのMacUserは2005年3月1日に、米国の最高裁判所(US Supreme Court)で行われた冒頭陳述で、著名なミュージシャンのグループは、ファイル・シェアリングを利用したP2Pは、多くのミュージシャンが世界的なオンラインの聴衆へ容易に届けるのに便利で、多くのミュージシャンはこの有益性は強く、著作権侵害のリスクより重要であると話し、米国最高裁判所が法的にオンラインファイル共有サービスで、彼らのユーザーによるどんな非合法活動に対しても責任を負わせないように求め、ミュージシャンはファイル・シェアリングを利用したP2Pに反対することで統一できないと語ったと報告した。詳細情報はURL(http://www.macuser.co.uk/?news/news_story.php?id=69920)で知ることができる。これでは、投網のように取り締まること自体が問題で、といって1曲ずつ調べていることも不可能であり、有名になる前のミュージシャンにとって、ファイル・シェアリングを利用したP2Pは重要で、有名になってしまったら利益確保に突っ走る金の亡者になるというのが現状のようであり、それのお先棒を担いでいるのが、何も著作をしない管理会社ということになる。さらにそこには政治力や利権が絡み、著作者を翻弄することになもなっている。著作権侵害として、ファイル・シェアリングを利用したP2Pに反対しているのは、Steve Winwood、Public EnemyのChuck D、ロック・グループのHeartで、ファイル・シェアリングを利用したP2Pは自分たちのアート活動を広げるのに有益な方法であると主張したのは、KazaaやGroksterであったと報告している。日本音楽著作権協会レコード会社19社が、音楽ファイルを無料で交換させるサービス「ファイルローグ」に対して運営元の日本エム・エム・オー(MMO)にサービス差し止めと損害賠償を求めた訴訟で、MMOが2005年4月15日までに上告しなかったことから、著作権侵害が東京高裁判決で確定した。米国連邦地方裁判所(U.S. District Court)と第9巡回区連邦控訴裁判所(the 9th Circuit Court of Appeals)はソニー・ベータマックス訴訟で20年前に確立された法的原則を採用し、ユーザーがアーティストやパブリッシャーに対価を支払うことなく著作物を交換できるP2P技術の提供企業に法的責任があるかどうかについて、ファイル交換ネットワークにも当てはまるとの判断を示し、責任は問えないという判決をしていたが、米国連邦最高裁判所(US Supreme Court)のデビッド・ソウター(David Souter)裁判官は2005年6月27日に、「著作権侵害を仕向ける明確な表現あるいはそのほかの積極的措置に示されている通り、著作権侵害のための利用を助長する目的のデバイスを配布している者は、その結果である侵害行為の責任を問われる」といい、裁判官の全員一致で、「P2P技術のデベロッパーにはユーザーの違法行為に対する法的責任がある」との判断を下し、GroksterとStreamCastに対してユーザーの違法行為に対する法的責任があると判決を下した。Creative Commonsのチェアーで、法学部教授のLarry Lessigは、最近の米国最高裁判所が下したファイル共有に対する判決は時代に逆行し、「TEN YEARS OF CHILLED INNOVATION(10年間も革新を冷蔵しているている)」と、BusinessWeekで2005年6月29日に報告した。確かに著作権を守ろうという考えは重要であるが、インターネットは本来ファイル共有を根幹として開発された研究用ネットワークであり、後日になってビジネスにも公開したのであって、根幹部分をビジネスのために否定するという考え方は、本末転倒であるというLarry Lessig教授の意見の方が正当であり、インターネットなどの共有を無罪にして、著作権を訴える側が、その中でどのように技術的に対処するかが問題であって、技術開発を放棄して、インターネットの発展を妨害するのでは、米国最高裁判所の判断に問題があるといえる、つまりネットワーク社会を理解していない判決であり、未来に向けた技術競争の敗者を政治力で強引にねじ曲げた判決を下したと、将来批判を受けることになるだろう。このようなことが起こるのであれば、本来なら国連などがサイバー裁判所を作り、国境のないサイバー最高裁判所と国境がある最高裁判所の判決を戦わせるべきであるが、最近の国連などの活動を見ていると、数カ国の理事国だけに振り回され、独自の発言まで撤回している。詳細情報はURL(http://www.businessweek.com/technology/content/jun2005/tc20050629_2928_tc057.htm)で知ることができる。PC Proは2005年7月14日に、ソフトウェアの特許権を廃棄したEU(European Union/欧州共同体)が、今度は音楽の著作権問題に興味を示し始めたと報告した。これは米国の著作権のように単純な考えではなく、ヨーロッパ中で様々な著作権メカニズムを統一する必要があるため、EC(European Commission)は25の加盟国が著作権のハードルを取り除く必要がないように考慮して、音楽著作権がデジタル社会の発達にどのように影響してきているかという暗黒部分にまで踏み込んだ研究として、EC(European Commission)が発表していると報告している。まず、著作権ありきという企業中心の考え方から、哲学的に著作権を検討する時代が来ていることを示し始めていことから、ソフトウェアの特許権のように、企業中心ではなく、哲学的なデジタル環境を考えた場合、今までのような米国企業主導の考え方では通じなくなるだろう。詳細情報はURL(http://www.pcpro.co.uk/news/74856/eu-turns-its-attention-to-music-copyright.html)または、URL(http://europa.eu.int/comm/internal_market/copyright/index_en.htm)で知ることができる。米国のゲームメーカーのBlizzard Entertainment社と親会社のVivendi Universal社が「Diablo」などのオンラインゲームを提供し、公式サイトの「Battle.net」のみでプレイできるようにしていたところ、プログラマーのロブ・クリッテンデン(Rob Crittenden)らがリバース・エンジニアリングを使ってBlizzardのプロトコル言語を読み取り、これらゲームを非公式サーバーの「bnetd.org」を介してインターネットでプレイできるようにしたことから、DMCA違反で訴えていた裁判で、米国の第8巡回区連邦控訴裁(United States Court of Appeals)は2005年9月1日に、Blizzard側の主張を認めた下級審の略式判決を支持する決定を言い渡した。この判決で、リバース・エンジニアリングはDMCA違反ということになった。詳細情報はURL(http://www.ca8.uscourts.gov/opndir/05/09/043654P.pdf)で知ることができる。ロイターは2005年9月6日に、2005年6月の米国連邦最高裁判所(US Supreme Court)による裁定に続き、オーストラリアでもKaZaAのユーザーは著作権を破っていたと裁決し、KaZaAは意図的に音楽か映画の著作権侵害を促進する傾向があることから、オンライン音楽著作権侵害を防ぐためにソフトウェアを変更するように所有者へ命令し、KaZaAにとって不利な裁定が下されたと報告した。詳細情報はURL(http://today.reuters.com/news/newsArticle.aspx?type=internetNews&storyID=2005-09-05T152751Z_01_FOR523610_RTRIDST_0_NET-MUSIC-KAZAA-DC.XML)または、URL(http://www.nytimes.com/2005/09/06/technology/06kazaa.html)で知ることができる。「知的財産高等裁判所」は2005年10月6日に、ンターネット上で配信した新聞記事の見出しを無断で使用し収入を得ているのは不法行為だとして、読売新聞東京本社が情報サービス会社「デジタルアライアンス」に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京地方裁判所が2004年3月に下した読売新聞東京本社の請求を却下した判決を覆し、記事の見出しを法的保護の対象と初判断し、不法行為を認めて23万円余の支払いをデ社側に命じた。このような判決を下した「知的財産高等裁判所」の認識は、国際的な判断とは逆行し、何とも理解できないことであり、最高裁判所まで戦う必要がある。また、「知的財産高等裁判所」の国際的な常識のなさにも驚かされる。さらに、このような重要なニュースがデジタル時代にも係わらず、2005年10月7日にもトピックスや判決紹介として公開されないという、時代に即していない環境にも「知的財産高等裁判所」という名称に疑いを持たざるおえない。裁判官に求められるのは、「法」の前に「哲学」が必要であり、立法権のある政治家に振り回されるような裁判官では、正常な判決が出せない。これでは三権分立も成り立たず、「法の番人」ではなく、「法の奴隷」に成り下がってしまったと言え、裁判長も堂々と自分の名前や判決結果を公表できないのかもしれないという不安が残る判決と言える。Journalism.co.ukは2005年10月27日に、イタリア人の市民ジャーナリズムの支持者がGoogle MapsとGoogle Newsをハッキングし、それぞれのアグリゲータを利用して、世界地図とニュース記事を企むニュース記事を網の目にかけるウェブサイト「GeoNews」を制作したと報告した。詳細情報はURL(http://www.journalism.co.uk/news/story1571.shtml)で知ることができる。この開発プロジェクトは、ミラノにあるWe Reportersウェブサイトによって発行されたプレスリリースに従って制作され、アイコンは、ニュースの重要性に比例していて、地図のズームでリサイズが異なるように作られ、リアルタイムで米国、イギリス、カナダ、インド、オーストラリア、およびニュージーランドからのGoogle Newsサービスでニュース記事を提供した記事が、「Google Maps」に表示される。これによって、出来事が起こった地理的な位置を把握できるようになった。確かに、ニュースと場所は密接に関係していることから、これは便利そうで、Googleも文句を言わないと予測される。色もイタリア風に変貌した。GeoNewsはURL(http://www.wereporters.com/geonews.htm)で利用できる。Groksterは2005年11月7日に、RIAA、NMPA(National Music Publishers Association)など米国レコード業界団体から訴えられていた裁判で、GroksterがP2Pネットワークの運用を完全に停止することを条件に和解に達したと報告した。詳細情報はURL(http://www.riaa.com/news/newsletter/110705_2.asp)または、URL(http://www.grokster.com/)で知ることができる。香港の裁判所は2005年11月7日に、ファイル交換ソフト「BitTorrent」を使って映画映画「デアデビル(Daredevil)」「レッドプラネット(Red Planet)」「デンジャラス・ビューティー(Miss Congeniality)」をインターネット上で許可なく交換しようとした男性に、懲役3カ月を言い渡した。IFPIは2005年11月24日に、オーストラリアの連邦裁判所(the Federal Court of Australia)のMurray Wilcox裁判官が2005年11月24日に、「KaZaA」」に対して2005年12月5日までに違法交換を止めなければ運営を停止するよう命じたと報告した。運営会社のシャーマン・ネットワークス(Sharman Networks)社は控訴している。詳細情報はURL(http://www.ifpi.org/site-content/press/20051124.html)で知ることができる。連邦控訴裁判所(The US Court of Appeals)は2005年12月9日に、Kazaaから楽曲を無料でダウンロードしたシカゴ在住の女性Cecilia Gonzalezに対し、「買いたい曲を決めるために著作権で保護された楽曲を入手したとするGonzalezの主張は、CDを盗んだ窃盗犯が、家で試聴して気に入ったものを後から購入するつもりで30枚だけ万引きしたと主張するのに等しい(A copy downloaded, played and retained on one's hard drive for future use is a direct substitute for a purchased copy, Gonzalez' argument is no more relevant than a thief's contention that he shoplifted only 30 compact discs, planning to listen to them at home and pay later)」と述べ、被告の行為は視聴にあたらず、著作権法違反に当たるとして、レコード会社に総額US$2万2500を支払うよう命じる判決を下した。詳細情報はURL(http://www.ca7.uscourts.gov/fdocs/docs.fwx?caseno=05-1314&submit=showdkt)で知ることができる。(「ネットワーク環境を理解していない判決/2006年」へ続く)