M&A元年


2005年に入って、フジサンケイ・グループのラジオ局ニッポン放送の発行済み株式(東証2部上場)の18.6%(2005年1月13日現在)を取得して、筆頭株主になったM&Aコンサルティング社(通称:村上ファンド)に対抗するため、2005年1月17日に、ニッポン放送株の50%以上を取得するTOB(公開買い付け)を公表したフジテレビであったが、2005年2月8日にライブドア(Livedoor)の堀江貴文社長は、社債発行で調達した800億円のうち700億円を買収に充て、ニッポン放送の発行済み株式35%(ライブドア・パートナーズが東証の時間外取引で株式972万270株/発行済み株式の29.6%+ライブドア本体が買い付けた175万6760株/行済み株式5.4%)を取得したことを発表し、すべて現行の法律に違反することもなく、筆頭株主になったことを発表した。これまで企業グループによる護送船団方式が常識であったことから、多くの問題発言も登場しているが、株を一般公開している株式会社であれば、このようなことは起こるのが当然であり、とくに以前から新し会社を作るより、M&Aの方がリスクを少なくできるといわれ、法整備が進んでいない日本で大手企業の弱点が表面化し、金融庁も緊急にTOPと株の時間外取引による入手の規制などに乗り出すなど、日本でもM&Aの幕開けといえる年になった。M&Aとは間逆の同族主義であぐらをかいて、緊張感もなく護送船団方式で生き残ってきた古い体質の経営陣が多い日本の大手企業を狙って、今後、同様のM&Aが多発する可能性も高いといえる。この日本独自の護送船団方式は、利権が絡んだ似非友情主義がともなって、多くの組織や団体にも存在し、違法ともとれる行為が強制力を持って狭い冷静さを無くした仲間内で納得され、正義のように行われている危険な行為も多い。さらに表面には出てこないで闇将軍のような人間を排出し、自分に逆らうモノは「干す」とか「キる」といった行動に出て絶対性を堅持し、社会を混乱させるのも日本独自の社会かもしれない。その中に一人でも冷静なモノがいればそれを指摘し、修正できるのだが、それを反逆として押し殺すという圧力まであり、結果として全体が狂った集団と化して行くことになる。また、放送業界だから、マスコミ業界だからと特別扱いをするような風潮もあるが、欧米では新聞社やテレビ局の買収が激しく、イタリアではシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)が多くのマスコミを買収して、首相にまでなり、メディアの独裁という批難まで出ている。フランスではエジプト資本による新聞社の買収と合理化が激しく、世界的に有名なフランスの新聞「Le Monde」も外部から買収に近い資金投入があり、経営陣の存在が危ないという噂が常識のように流れている。これらを認めるわけではないが、世界の常識ではテレビを含んだマスコミも企業であり、特別ではない。これまでのような日本の常識だけで安泰を求めてきた古い因習を一掃するためにも「M&A元年」を日本は歓迎すべきかもしれない。ただし、そこにはイタリアのベルルスコーニやテレビ局を買いあさるルパート・マードック(Rupert Murdoch)のようにマスコミ独裁者を生む危険性も含んでいる。Jordanは2004年10月1日に、2004年1〜9月のメディア関連M&Aのレポートを公開し、YahooがMusicmatchをUS $1億6000万で買収し、Daum CommunicationsがLycos社の株をUS$9540万購入、Viacom社がSportsLineの株62%をUS$4600万で購入するなど、2003年1〜9月のメディア関連M&Aと比較して、57.1%アップし、取引処理では8倍以上も上昇したと報告した。詳細情報はURL(http://www.jegi.com/docs/Press_10-01-04.pdf)で知ることができる。フジテレビのニッポン放送株TOB締め切りなる2005年3月7日に、日本経団連の奥田碩会長は記者会見で、ライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦に関して、「新世代・新人類と旧世代の相違が出ている」と指摘し、「違法性はない。非難するばかりでなく、いかに若い世代とブリッジしていくかだ」と若い世代を養護する意見を述べた。詳細情報はURL(http://www.keidanren.or.jp/japanese/speech/kaiken/2005/0307.html)で知ることができる。また、またフジサンケイグループ創業家で、辞任に追い込まれ、フジテレビの新株発行などで発言権まで剥奪され始めている鹿内宏明らは2005年3月7日に、2004年大和証券SMBCに売却した8%の同放送株について、大和がTOBに応じようとしているなどの対応に違法の疑いがあるとして返還を要求した。2005年3月11日に東京地方裁判所は、ライブドアが発行差し止めを求めた仮処分の申請を認め、発行を差し止める仮処分を決定をした。これにより、ライブドアではなく、フジサンケイ・グループのニッポン放送が違法性のある行動であったことが明らかになり始めたことから、ニッポン放送は早速、保全異議申し立てをした。フジテレビが今まで通り高飛車な態度で来れば、ライブドアはフジテレビが鹿内一族を追い出したときと全く同じ手法で、36.47%しか確保していないフジテレビに「雪隠詰め攻撃」を仕掛けることになりそうである。ニッポン放送がポニーキャニオン株などの保有資産を売却することは同放送の企業価値にも響くため、ライブドアは2005年3月12日に、大株主である堀江貴文社長名義でニッポン放送の全株主にポニーキャニオン株やフジテレビ株を売却しないよう要請する文書を送付したが、ニッポン放送は2005年3月14日に株主を無視するようなポニーキャニオン株をフジテレビへ売却する動きを見せた。これは将来、株式会社という組織内の株主に対する反逆行為であり、犯罪にまで発展する可能性が出てきた。2005年3月16日に東京地方裁判所は日本放送の異議申し立てを却下した。ニッポン放送は東京高裁に即時抗告した。また、ライブドアは2005年3月16日に、ニッポン放送株の50%を確保したと報告した。これではフジテレビ、ニッポン放送の経営陣の対応はすべてにおいて後手に廻っていることになる。ポニーキャニオンの社員はフジサンケイグループに残りたいと訴えた。しかし、株式会社という株主がもっとも優先されるべき組織の一員の訴えに対し、裁判所が影響されるとは考えにくい。フジテレビが行ったTOBに応じた東京電力に対し、東電の個人株主が2005年3月14日に、「市場価格より安い価格で応じたのは責務に反する」として、取締役の責任を問う訴訟を起こすよう東電に求める「訴訟提起請求書」を送った。利益追求組織であり、株主を守るべき企業と考えた場合、こちらの方が常識的で正当な訴えといえる。ニッポン放送の大株主であるMACアセットマネジメント(通称・村上ファンド)は、2月末までにニッポン放送株を約496万3000株売り、2005年1月5日時点で18・57%あった保有比率を3.44%まで低下させていた。フジテレビジョンとライブドアは2005年4月18日に和解合意記者会見を実施し、フジテレビジョンはニッポン放送を完全子会社化すると共に、ライブドアと業務提携すると発表した。和解合意内容は、フジテレビジョンがライブドア・パートナーズを2005年5月23日に総額670億円(ニッポン放送株1株6300円相当)で買収し、ライブドアが保有する(ニッポン放送株17.60%やその他の株主の持ち株13.5%も1株6300円で買い取り、フジテレビジョンがニッポン放送を完全子会社化し、ニッポン放送の上場を廃止する。ジテレビジョンがライブドアの第三者割当増資440億円を引き受け、ライブドア株の12.75%を保有する。放送とインターネットのシナジー効果を模索し、フジテレビジョンとライブドア、ニッポン放送による「業務提携推進委員会」を設置するということになった。詳細情報はURL(http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1089824/detail)で知ることができる。東京証券取引所は2006年3月13日に、ライブドアとライブドアマーケティングの株式を上場廃止することを決定した。両株式は2006年3月14日から4月13日にかけて整理ポストに移管された後、上場廃止になる。 ライブドアは2006年3月13日に、2003年10月1日〜2006年9月30日の連結会計年度に、本来であれば3億1,278万円の経常損失が発生していたにも関わらず、売上計上に認められないライブドア株式売却益37億6,699万円や、ロイヤル信販とキューズ・ネットに対する架空売上15億8,000万円を計上するなどして連結経常利益を50億3,421万円と虚偽の記載を行なったと告発について容疑内容を公開した。詳細情報はURL(http://www.tse.or.jp/cash/stock/stlisting_e.html)で知ることができる。またライブドアのニュースリリースはURL(https://www.release.tdnet.info/inbs/430d0a10_20060313.pdf)にある。そして、ライブドア全取締役は2006年6月をめどに退任させ、山崎代表取締役の後任には平松庚三執行役員社長(60)が就任し、再建へ責任を明確化するというが、平松庚三執行役員社長は本来、ソニーから動向が怪しくなったアメリカン・エクスプレスに転職し、さらにいよいよアメリカン・エクスプレスの先が見えなくなると、IDCに、さらに先行きがどうにもならなくなったAOLジャパンと業績不振で解散か縮小を余儀なくされた会社への転職を繰り返してきた、日本では非常に珍しい本格的なプロのスカベンジャーといえる。USENの代表取締役社長の宇野康秀は2006年3月16日に、フジテレビジョンが所有するライブドアの全株式1億3,374万株を1株あたり71円合計金額94億9,554万円で、取得する譲渡契約を締結したと発表した。売買代金の決済日は2006年5月31日になる。またUSENは、ライブドアと業務提携し、フジテレビジョンは440億円の購入額から94億9,554万円を差し引き、特別利益111億7200万円、特別損失345億400万円を経常し、業績予想を修すると発表した。詳細情報はURL(http://www.usen.com/corporate/release/2006/pdf/060316_04.pdf)または、URL(http://www.usen.com/corporate/release/2006/pdf/060316_03.pdf)または、URL(http://www.c-direct.ne.jp/japanese/uj/pdf/10104676/00043861.pdf)で知ることができる。2006年4月14日付で上場廃止となるライブドア株は、経営再建後の将来の再上場を期待した思惑的な買いや、個人投資家が記念として取得する動きなどが支えとなり、売買高は4476万537株で、前日比7円安の94円で取引を終えた。日本銀行の福井俊彦総裁が富士通総研理事長だった1999年秋にインサイダー取引容疑で逮捕された村上世彰容疑者が代表を務めていた村上ファンドに1000万円を投資していたことが2006年6月13日に明らかになり、日本銀行総裁になった後も引き続き繰り延べ投資していたが、2006年2月に、2006年6月末の解約を申し出て受理されたと説明した。また、村上ファンドの経営諮問委員会にあたるアドバイザリーボードのメンバーを務めていたとの一部報道について、福井総裁は交友関係上の「フレンドリーなアドバイスだった」と説明し、「具体的な投資活動についてのアドバイスはしておらず、アドバイスによる契約も報酬もない」と強調した。これでは村上世彰の容疑が内部で明らかになって、あわてて解約したと言われても弁解の余地はない。日本銀行には、「日銀内部で知り得たインサイダー情報について利殖活動を禁じる」「株式投資などについて事後に報告する」という内規があり、過去の職歴や現在の立場などに照らし、「世間からいささかなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には、個人的利殖は慎まなければならない」とも定めている。福井総裁は服務に違反していないと行っているが、違反すれすれなのは事実である。また、福井総裁は富士通総研の創設当時、旧通商産業省の官僚だった村上氏からアドバイスを受け一定の恩義があったとも解説しているが、インサイダー取引は一種の詐欺であり、以前に堤義明西武鉄道社長が偽財務表とインサイダー取引容疑で逮捕されたとき、2005年3月3日に、「日本の億万長者詐欺罪で逮捕(Japan: Billionaire arrested on fraud charges)」というニュースがロイター(Reuters)経由で世界中に流れたことがあり、日本銀行といえば日本の金庫番であることから、とんでもないニュースが世界に配信される可能性はある。また、東京証券取引所の西室泰三社長兼会長は財務省での記者会見で「この話を大きな政治問題にすることは避けた方が、日本経済のためにはいい」と発言し、「総裁になった時に処理をされていればベターだったが、意思決定にいかなる影響も与えていなかったと思う」と、引責辞任などの必要性を否定しているが、このようなことは、政治の世界で判断を求めるべきことで、東京証券取引所で軽薄に判断できることではない。詳細情報はURL(http://www.jiten.com/index.php?itemid=1280)で知ることができる。ライブドアとライブドアマーケティングの個人株主1621人と法人株主6社は2006年6月5日に、粉飾決算などでつり上げられた株価で購入させられ損害を受けたとして、両社と前社長の堀江貴文被告(33)らに計約101億の賠償を求め、東京地裁に提訴した。「ライブドア株主被害弁護団」の呼び掛けに応じ、ライブドアとライブドアマーケティングの個人株主1187人と法人株主13社は2006年7月7日に、粉飾決算などでつり上げられた株価で購入させられ損害を受けたとして、両社と前社長の堀江貴文被告(33)らに計約62億5780万円の賠償を求め、東京地裁に提訴した。詳細情報はURL(http://www.livedoor-higaibengodan.jp/index.htm)で知ることができる。東京地方裁判所で2006年9月4日に、堀江貴文被告(33)に対する証券取引法違反事件に対する初めての公判が始まった。世間を騒がせたことでマスコミも大騒ぎしているが、これは殺人罪のような大騒ぎする事典ではなく、それほど大きな犯罪ではなく、今後は11月まで共犯者として起訴されたライブドア元幹部ら計18人の証人尋問として、毎月10回前後の集中審理が行われ、同時進行で行われるライブドア社の裁判や宮内前取締役などの裁判が終われば、後はそれほど注目もされないまま堀江被告自身の被告人質問まで26回の予定の審議の後に結審し、有罪になったとしてもそれほど長期の収監は考えられず、民事裁判による粉飾決算による被害賠償問題の方が重要であるが、具体的に堀江被告自身に対する賠償問題は立証しにくいことから、長期化も予測されている。つまりは時間が啓血することになるだろう。


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