物理学が培ったさまざまな概念、解析手法、シミュレーション技法を用いて、経済の世界の価格変動や価格の暴落といった現象を明らかにする学問の総称。物理学が物事の法則性を研究するという普遍的科学的な立場で進化したのに対し、経済学は現実的な「利益」と直結して進化してきたが、1975年にフランスの数学者で米国のIBM Thomas J. Watson研究所に在籍していたベノワ・マンデルブロ(Benoit B.Mandelbrot 1924〜)が「フラクタル」という物理学的概念を提唱して、経済学への物理学的アプローチが活発になりはじめた。例えば、仮想のディーラーと仮想の市場をコンピュータの中に作り、人工生命の研究のように、仮想の市場の動きを観察して現実の市場との類似を見つけることで経済の動きを物理学的に把握し、同時に未来の傾向を予測する材料として利用されはじめ、経済の動きを解明したり、あるいは為替や金融の世界では付き物のリスクを回避する方法として利用され始めている。ただし、それらの現象は、過去の金融関連の膨大な累積データから予測され、これを利用すれば未来の株価動向も把握でき、絶対に利益を確保できるかと言えば、それまでになかった小さな現象が全体のバランスを崩し、予測通りに行かない事例も多く確認されている。