ガイドラインに対する意見書


平成9年5月21日に第2種電気通信事業者約400社でつくる社団法人テレコムサービス協会事業者倫理研究会が公開した「電気通信事業における「公然性を有する通信」サービスに関するガイドライン(案)」に対し、インターネット弁護士協議会の牧野二郎弁護士が個人のホームページで「ガイドラインに対する意見書」を公開した。テレコムサービス協会は1998年12月11日に改訂版「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」をURL(http://www.telesa.or.jp/katsudo/98_12/98_A_067.html)で公開した。

[全文]
ガ イ ド ラ イ ン に 対 す る 意 見 書
1997.5.25
弁護士 牧 野 二 郎

平成9年5月21日 社団法人テレコムサービス協会事業者倫理研究会は、「公然性を有する通信」サービスに関する事業者に対するガイドライン、および運用マニュアルを作成公表した(以下「ガイドライン」とのみいう)。
公表された内容は、案であるとして、利用者からの意見を広く求めているので、以下に
意見を述べるものである。

1 総論

本件ガイドラインは、事業者のサービス提供におけるガイドラインであり、事業者に対し情報発信者からの情報の掲載・提供行為を、監視監督する事を義務づけるものとなっている。
(情報発信制限)
その内容は、第一に、個々人の提供する情報の内容そのものに対し、事業者に対し、情報提供者の提供した情報内容に対するの監視を認めるものであり、「私的検閲」を合法化する危険性がある。
(情報提供制限)
第二に、「公然性を有する通信」サービスに含まれる範囲が不明確かつ広範であり、事業者の一方的な判断で、これまで広く利用されてきた多くの情報提供(ニュースグループ、テルネット、FTPなど)が中止され、閲覧すら禁止され、世界との情報交流が遮断されるものとなり、国民の知る権利を大幅に制限、規制する内容を持つ。
(通信事業者の変質)
第三に、事業者に現実的な司法判断を強要し、過度の責任と義務を負担させる事になり、その能力と権限をはるかに越えた判断決定を行わしめる事で、大きなリスクを負担させるものとなる。

本ガイドラインは、電気通信事業者に対して、情報提供者と情報要求者の間に立ちはだかって、事業者が情報流通のバリアー(障壁)となるよう求めるものであり、電気通信事業者の地位と役割を大幅に逸脱したものであり、事業者に対し過度の責任とリスクを負担させるものとなっている。

これは同時に国民の知る権利、表現の自由に対する大きな制限を課する性格のものであり、慎重な検討を要する問題である。以下、ガイドラインにそって、検討する。

2 具体的検討

第1 概念の不明確さと混乱

1−1 「公然性を有する通信」概念の不明確さの問題

ガイドラインは「公然性を有する通信」という概念を多用するが、その内容が定義されておらず不明確である。
そもそも
a)「公然性を有する通信」とは何か、
b)公然でないものとの区別は何か、
c)「公然性を有する通信」は電気通信事業法上の「電気通信役務」に含まれるのか、含まれないのか。
d)「公然性を有する通信」については、検閲禁止(電気通信事業法第3条)、秘密の保護(同法第4条)の適用はあるのか、ないのか。
e)パスワードなどで非公開とされたものは、「公然性を有する通信」に入るのか、否か。
f)今後新しい技術が出た際の、「公然性を有する通信」に当たるか否かの判断基準は何か。
といった、基本的な内容に関する規定がまったく置かれていない。したがって、電気通信事業法においては、事業者の取り扱う通信役務にこうしたあいまいな区別はなく、したがって、ガイドラインが、勝手に「公然性を有する通信」などという範疇を定めて、これを検閲し(同3条)、秘密を漏らし(同4条)、不当に差別する(同7条、34条)となれば、電気通信事業法違反をおこなうことになり、犯罪行為の教唆を行うものとなる。

1−2 「公然性を有する通信」サービス受ける側の通信の秘密問題

ガイドラインは、「公然性を有する通信」概念を作り、これに特別な意味を伏したようであるが、概念の統一が図られていないと思われる。
すなわち、情報の発信方法としてのホームページの掲載などを、誰でも要求する事によって見る事ができるという観点を過度に強調する事で、「公然性」という観点を、特徴づけたものと見られるが、次の二つの点で問題がある。

まず第一は、プッシュコンテント(プッシュメニュー)は、いわばテレビ画像のように情報を流し込んでくるので、その限りでは、テレビのような公開メディアとしての性格を併せ持つものである事は否定できない。しかし、それとても、情報要求者の要求行為があるという事がある事を否定してはならない。加えて、ホームページは、一般にプルコンテント(プルメニュー)と呼ばれる、静的な掲載情報であり、ハードディスク内に静かに蔵置されたものである。一回の要求に一回のみこたえるという、一対一の関係である。電気通信の通信が、回線が結合された一対一の関係で成り立っている事と「公然性」とが、どのように整合するのか明らかにされなければならない。
ガイドラインは、「公然性を有する通信」概念を、無前提的に、なんの説明もせずに使用するが、その言葉は、以下なり概念か、まったく説明されていない。また、これまでの概念とどのような相関関係になるのかも、明らかにされていない。ガイドラインが、ガイドラインとなるには、この点を避けてとおる事はできない。

第二は、「公然性を有する通信」概念の背後には、多数のこれを利用する側の、通信の秘密があるという事実である。すなわち、ホームページの情報を要求する行為である。これらの行為は、ガイドラインの立場といえども、非公然の行為であり、この範疇は明らかに通信の秘密の範囲である。ホームページへのアクセスログは、アクセスしたものの通信の秘密であり、「公然性」とは相容れない。従って、当該アクセスログを捜査機関などに提供する行為は電気通信事業法に違反するものとなる。したがって、公然性に関する議論の範囲を明確にする必要がある。

第三に、ガイドラインは、ネットワークへのアクセスID問題(第6条)、アクセスログ管理問題(第4条)、電気通信事業法上の秘密保護問題(第7条)などにおいて、主として非公然な通信の秘密に関するガイドラインを織り込んでいる。主題、題名が、「公然性を有する通信」サービスに関する、としているにもかかわらず、内容は非公然たるIDなどに関する規制となっているのは、奇異に思われる。概念の整理と、問題の明確な切り分けが必要である。

第二 電気通信事業法に反する規定

2−1 検閲禁止規程違反

第2条 約款又は利用契約で定めるべき事項 においては、

 『 事業者は、「公然性を有する通信」サービスにおいて次に掲げる情報を発信してはならない 』

と定める。
この規定は、そもそも、事業者から所定の情報の発信自体を禁止するものであるため、情報発信前の事前規制を前提とする事になる。すなわち個人が、ホームページを開こうとして情報を事業者のハードディスクに蔵置した時点(発信の準備をした時点)で、事業者はその内容を審査する事になる。
これは、情報の公表前の規制という性格を持ち、かつての新聞紙法などの言論統制法と同質の、発行事業者に対する事前規制を求める内容となっている。

電気通信事業法における検閲禁止規定は、国家による検閲を前提としつつも、国家の出先機関として行う検閲も禁止していると一般に理解されており、その前提に立つ限り、ガイドラインは同法に違反する。


2−2 表現の自由を侵害する行為に荷担する違法な処分

第2条は更に

『 これらの情報に関して発信者以外の者から苦情を受けたとき 』

当該情報の発信者に警告、改善要求、削除、利用の停止又は契約の解除を行うとする。

この規定では、表現の自由は、ほとんど保護されない事になる。この規定には、二つの問題がある。
第一は、情報発信者以外のものの抗議一般に対して、事業者はこれを受ける事になり、広きに失する。被害者の被害届などは重要視するとしても、それ以外の妨害行為や、圧力に対して、無制限に抗議を受けるという仕組みは、言論封殺に道を開くものであり、きわめて危険である。原則として、被害者以外の第三者に対し、抗議を許す必要は乏しい。
第二は、「苦情」に対して、各種処分を想定している事は、異様というほかない。抗議でもなく、被害の申告でもなく、批判でもない、非常に広範な「不快感の表明」一般に対して当該処分を予定するのは均衡を逸している。

結局、企業活動に対する総会屋からの抗議や、嫌がらせ、正当な批評活動に対する圧力団体からの嫌がらせといったものに対して、その批判を撥ね退ける事なく、ただただ事業者の保身のための情報制を行うという姿勢が問題である。
そもそも、電気通信事業者は、情報内容に感知する必要はなく、被害者と情報発信者との直接交渉を補佐するのみで足りるのである。それ以上の事は、能力も権限もないのであるから、行ってはならないのである。これが原則なのである。

2−3 禁止内容は報道の自由を違法に制限する

第2条は更に、禁止事項として次のものを上げるが、すべて大きな問題がある。
1) 他人の通信の秘密又はプライバシーを侵害する情報
通信の秘密を侵すか否か、プライバシーの侵害になるかどうかは、大変困難な問題である。政治家などの公人には市民と同様のプライバシーはなく、また、プライバシーを大きく開披したタレントなどに関する情報が多く、そもそもプライバシーの内容が相対的である事から、対象が不明確である。
また、選挙や、社会的な意義ある場合には、プライバシーの侵害になったとしても重要な事実は明らかにすべき場合があり、一概にこのような規定を設ける事は疑問である。

2) 他人を誹謗し、中傷し又は差別する情報
  その他他人の権利利益を侵害する情報

批判と誹謗はどう違うか、批判と中傷はどう違うか、他人が違法な行為で不当な利益を得ている場合にそれを批判するのは「侵害」にあたるのか。
事業者にとって、明確なものであるべき、ガイドラインにおいて、不明確なものを規定する事は、問題である。

3) 著作権等他人の知的財産権を侵害する情報

著作権の侵害があるかどうかの判断は、現在もっとも困難な判断と言われている。著作権の行使というのは、それ自体が言論行為、表現行為であるため、表現者にとっては極めて重要な活動そのものである。
著作権に関して、理解する事が困難な状況にあって、また、十分な情報すらない段階にあって、また、判断の専門家のいない事業者にあって、これを禁止する事ができるはずもない。できない事を、要求しているというのは、問題である。

4) 有害プログラムを含んだ情報
事業者は、ここのホームページの提供者の表現内容だけではなく、その提供するプログラムまで、検査して、その有害性を判断するというのであれば、不可能な事を求めているというほかない。プログラムの、「有害」性とは何を言うのか、ハグが出ても「有害」であるし、改造する事でウイルスになる可能性のあるプログラムの駄目という事になる。事業者にその判断ができるというのか、疑問である。

5)偽造、虚偽又は詐欺的情報

詐欺まがい商法や、ねずみ講が蔓延しつつあるが、法律の専門家集団でもこれを合法と公言するものがある。合法な範囲であれば、それを制限する事の方が違法となる。その判断が、事業者に可能なのか。

6)公職選挙法に違反する情報

公職選挙法において、インターネット上の情報の提供をどの程度解禁して行くかは大きな問題であると共に、不明確な分野も多い。この分野では、現在もその内容についての議論が国会内部で行われている。かくも、困難な内容について、事業者が判断できるのか。

7)その他法令に違反し又は違反するおそれのある情報

「違反するおそれ」とは何か。違反していないのに、禁止するとなれば、表現行為を過度に抑圧する事になる。

8)わいせつ、売春、暴力、残虐等公序良俗に反する情報

わいせつの基準は、時代と共に変わるといわれ、「4畳半襖の下張り」事件ではワイセツと判断されたものが、現在ではまったくわいせつとは評価できず、現にネット上で公開され、警察もこれを黙認するという事態である。

事業者によれば、これも取り締まるという事か。その範囲は明確になっているのか。

第3 苦情処理制度、苦情処理方法の危険性

3−1 苦情処理の困難性

第3条第1項は
『 事業者は、「公然性を有する通信」サービスにおいて発信者以外の者から苦情を受けたときは、・・苦情の内容を把握し、事実関係を確認する 』
として、事業者に調査義務、事実関係の確認義務を負わせている。

更に続けて、

『 事業者は、・・第2条の・・いずれかに該当すると判断することのできる相当の理由がある場合には、・・警告又は・・改善要求を行う 』『 複数回にわたり継続して苦情を受けている発信者に対しては、・・削除、利用の停止又は契約の解除を行う 』として、第2条に該当すると判断した事業者は、当該情報の削除等を行う事になる。

こうした規定では、事業者は、あらゆる苦情に対して、その調査、確認を行い、その結果、第2条に該当するかどうかを判断しなければならない。調査しておきながら、判断しないという事はできない。
調査した以上、当事者には、判断を示す必要があり、その判断の根拠を示さなければならない。

事業者において、かくも困難な作業ができるのであろうか。ガイドラインを作ったのが事業者ならば、その困難さは容易に理解できるはずである。今の事業者は、これが、困難なゆえにできない事が悩みの種なのである。

3−2 苦情処理判断のリスクの負担

事業者は、このガイドラインで、大変な危機に直面する。
第三者からの抗議があったとき、事業者はその抗議を聞き、調査し、その当否を判断するというのであるから、現実には、事業者でありながら専門外の司法的な判断を強いられることになる。
その判断は、後に、正式な裁判手続きによって、批判され、覆され、否定される可能性がきわめて高い。
裁判所ですら判断に苦しむ内容を、素人集団の事業者が判断して、その判断ミスの危険は、すべて、事業者が負担するという仕組みをとっている。

ガイドラインの規定によれば、事業者の判断を要するケースは、個人の権利相互が衝突する事案である。従って、利害対立の激しい部分であり、常に裁判となる危険をはらむ。これまで、司法紛争に巻き込まれないためにも、電気通信事業者としての地位を遵守してきたにもかかわらず、このガイドラインは、その一線をあえて越えようとしている。火中の栗を拾おうと言うのである。大やけどを覚悟して。
このガイドラインは、当事者の行うべき訴訟にたいし、その中に割って入り、自ら当事者として、処分者として、そしてほとんどの場合は被告として、訴えられる対象になる事を志願するものとなる。この訴訟では、勝訴しても何らの利益はなく、敗訴すれば経済的な負担が生ずるだけである。

ガイドラインは、電気通信事業者に、その守るべき地位からはみ出して、あえて、素人判断を行う事を義務づけ、過重な判断義務を負担させ、結局経済的なリスク、膨大なリーガルコストを負担させる事を意味するに他ならない。事業者にとって、何の利益も、いささかのメリットもない、無駄を強いるという事になる。

3−3 苦情処理目的のログ管理の違法性

ガイドラインは、苦情処理目的のためのログ管理の徹底及び苦情受付窓口の一元化を事業者に義務づける。
しかし、そもそも通信の記録たるログは、通信の秘密に属する事実であって、通信の秘密の観点から、通信事業者自体をれを利用したり、公開したりする事は、厳格に禁止されている。
ガイドラインは、第三者の苦情処理のためにこのログの管理を義務づけるというものであり、通信の秘密に関する事実の目的外利用を推進するものであって、違法行為を推奨・推進するものである。

そもそもログの管理は、会員の保護のためであり、会員の円滑な通信施設利用のための、施設管理の記録に過ぎず、それ以外の目的に利用する事は違法とされている。ガイドラインは、この原則を無視するものであり、問題である。

第4 会員契約に関する不明確な規定

4−1 青少年規定の不明確さ

第5条は契約内容に関する規制をするが、特に第1項の青少年の契約への規制の規定は、不明確なものであり、若年者層に過度の不安を示すものであり、妥当性に疑問がある。

ガイドラインは、青少年との契約には保護者の同意が必要とする。そもそも「青少年」とは、青年と少年を包含する概念(広辞苑)であるとすれば、上限は24、5才の男女までも含む事になる(青年は概ね24、5才までである・広辞苑)。24才のサラリーマンに契約時には保護者の同意を義務づける事は、本当に必要な事なのか、再考を促したい。

4−2 青少年の利用を監視する事を義務づける違法

ガイドラインは、さらに青少年の利用料金が高額にならないように努力するものとする。これは、青少年の利用を、他と区別し、常にその利用を監視する事を意味するとも考えられる。
青少年の利用を常時監視するということ事態、電気通信業者として行ってはならない事である。いったん契約した以上は、成年でも、青年でも、そして少年であっても、事業者の監視下にはないのである。

少年の利用に関する管理は、保護者にあり、保護者の責任で、管理すべき事項であり通信事業者の義務ではない。また、事業者には、監視権限もない。

第5 違法有害情報という新たな概念への疑問

5−1 「違法または有害な情報」とは何か

ガイドライン第6条は、青少年の保護という趣旨から、「違法または有害な情報」という概念をつくった。
この概念は、第2条所定の情報との違いは何か。
このガイドラインの規定からは、第2条に該当しない情報であって、なおかつ、「違法または有害な情報」というものがある事になる。この関係では、事業者は、ある情報が違法である事を知っているが、制限しないで発信しても良いという事になる。ところが、違法情報は2条8号に該当するほかない。

従って、ガイドラインは、第2条で情報発信を禁止して、第6条では成人には当該違法情報を見せても良いという自己矛盾を犯しているとも考えられる。
ガイドラインは、概念の整理をしなければならない。

5−2 「成人向け情報」と「違法又は有害な情報」との異同
ガイドライン第6条第2項では「違法又は有害な情報」への対策と銘打って、実質は「成人向け情報」へのアクセス制限を規定している。
「違法又は有害な情報」と、成人向け情報とは同じか、違うのか。どのように区別するのか。基準は何か。

5−3 事業者が行うフィルタリングは、検閲に他ならない
 
ガイドライン第6条第2項2号は、通信事業者に対して、レイティング/フィルタリング・システムの開発・導入をおこなうよう求めている。

レイティング/フィルタリング・システムというのは、情報に対する取捨選択方法ないしでそのための格付けを意味する。従って、情報自体を一定の観点から、スクリーニングする事を目的とする。
こうした作業は、未成年者に対しては教育機関や、保護者、両親が行うというのが基本であり、米国ではそうした体制が完備されつつある。各ソフト会社も、こうしたソフト開発を行い、保護者の管理能力を補完し、これに協力している。
このように、フィルタリングなどが合理性をもつのは、消費者の選択権が保障されて
いる範囲においてのみであり、それ以外のフィルタリングは言論統制につながる危険をもつ。
国家によるフィルタリングは検閲であり、事業者によるフィルタリングは私的検閲に他ならない。

ガイドラインの立場は、事業者にこうした私的検閲を推奨し、要求するものであり、大きな疑問がある。

第6 犯罪捜査に対する基本的立場への疑問

6−1 強制捜査に対して守るべきもの

ガイドライン第7条第1項は所定事項を確認する事と、設備保全、通信役務提供の支障なきよう対処する旨定める。
本来、強制捜査は、一定の容疑によって行われるものであり、それ自体は司法判断を経たものであり、尊重する必要がある事は言うまでもない。
電気通信事業者として必要な事は、容疑対象ではない大量の通信に関する情報、通信自体、通信に関する事実を保護する事である。設備の保全、役務の保全は事業者として通常の場合と同様、当然の義務にほかならず、捜査押収において特段の変化はない。問題は、容疑者の通信情報の開示要求に際し、他の利用者の通信に関する情報等の開披が絶対行われないようにするという事がもっとも重要なものである。通信ログの開示や、被疑者受発信にかかるメールの開示の要求に対し、関係令状の確認は当然であるが、通常その被疑者分だけが別に区分けされているわけではないため、不用意な開示は、他の通信記録の開示につながる。

更には、最近では、参考人と表示されたものの開示要求に応じているケースもある様であり、あるいは、被疑者の表示を「ほか〇〇名」と表示して、探索的なメールの開示要求がなされているケースもある。

電気通信事業者は、通信内容に関しては、一切責任を負わないと同時に、その情報を厳格に管理する事で、今日の信頼を勝ち得てきた。これは、世界の趨勢であり、電気通信事業者の誇るべき歴史である。

電気通信事業者は、司法審査を経た限りの被疑者に関する情報を提供する義務はあるとしても、その範囲を逸脱した探索的な、網羅的捜索に対して、厳格な対処を取るべき立場にあり、この範囲にあっては、法的に保護され、あるいは拒否する事が義務づけられているのである。ところが、ガイドラインは、機械の保全しか求めておらず、もっとも重要な情報の保護にまったく触れておらず、基本的立場に疑問がある。

6−2 任意捜査への協力の疑問

ガイドラインは、第7条第2項 任意捜査への対応 と題して、書面による紹介にたいして協力する事を定めている。
ガイドラインの示す協力とは一体何か。通信の秘密を開示しないという制限はあるものの、任意捜査によって求めるものはそれ以外何があるというのか。どのような事柄に対して協力するべき義務があるのか明らかでない。

任意捜査は、被疑者の通信に関する事実の捜査を行うものであり、そのために通信事業者にたいして、捜査の協力を求めるのである。クラッカー対策として、捜査機関と協力して、一体となって捜査するという趣旨であれば、その旨明記すべきである。

6−3 通信の秘密の開披は電気通信事業法違反である。

ガイドラインによれば、通信の秘密は、事業者の、「緊急避難や正当防衛に該当する場合」には開示して良い事になっている(7条2項2号)。
電気通信事業法は、通信の秘密を厳格な管理の下においている。すなわち、通信役務を遂行するに当たっては、基本的には通信の秘密に渡る情報を取得せず、万が一情報を知徳したときはこれをもらしてはならないとされる(同法第4条ほか)。

ガイドラインは、電気通信事業法の定めのない、通信の秘密の開披理由を新たに設定するものである。法例の例外は、法例で定めて、行うべきものである。ガイドラインでそのような例外を新設しても良いのであろうか。疑問である。

事業者の緊急避難とは何を想定しているのか。明らかではない。
事業者の正当防衛とは一体何を言いたいのか。明らかではない。

仮に、クラッカーなどの攻撃を想定しているとしても、そのために、関係のない第三者の通信の秘密を開示する必要はなく、根拠にならないのである。


1999年12月5日のE-Commerceランキング
2000年2月と3月の電子商取引分野別比較
2000年2月と3月の電子商取引総合比較
2000年から2003年に変化する米国とその他の地域の電子商取引
1998〜1999年におけるインターネットの経済的重点
Webショップのプライバシーに対する情報掲載
A Brief History of the InternetのTimeline
テネシー大学のDonald Bruce助教授の1979〜2003年個人税収計算
E-Commerceによる価格と税収の変化
E-Commerceの発達による税収の変化
インターネットを活用した収入額別の割合
インターネット・ショップの継続年数と全体の割合
E-Commerceの形態と経験年数の比較
米国の学校に接続されたインターネットの数と利用環境
親と学生による教育に必要な要素比較
NCLのプライバシー問題報告
CSLRが公表した日本人のオンライン・プライバシー楽観主義
1999年と2000年の10月、11月、12月のウイルス比較とその種類
米国のConsumer Reportsが調査したAOLとフィルタリング・ソフト評価
E-Mailと著作権
電子メールを利用したeZine
米国における人種別インターネット犯罪とその種類
IPSOS Reidの世界のオンライン詐欺情報
米国のNPRCの個人情報アーカイブ構築タイムライン
MSNBCが2001年6月に調査したオンライン上で有害といわれるサイトへの反応
Harris Interactiveが公開したプライバシーとプロテクション情報
Pew Internet & American Life ProjectのThe Internet and Educationレポート2001/09/01
GAOが2001年10月15日に公表した、新しい選挙方式導入資料
GAOが2001年10月15日に公表した、選挙方式と個人
GAOが2001年10月15日に公表した、選挙の標準化
GAOが2001年10月15日に公表した、2000年大統領選で数えられなかった票
米国の教育とメディアに関するIDCの調査報告(2001年9月現在)
Yankee Groupの自宅パソコン・ユーザーがインターネットを止めた理由調査
GAOが2002年2月1日に公開したJim Giboonsによる「School Dropouts」
内閣府「第4回情報化社会と青少年に関する調査」の概要と目次
内閣府/メディアとの接触状況1-1)テレビ視聴時間-前回調査との比較
内閣府/メディアとの接触状況1-1)テレビ視聴時間-テレビ視聴時間−携帯・PHS利用の有無、パソコン利用の有無、インターネット利用経験の有無別
内閣府/メディアとの接触状況1-2)テレビニュース視聴時間-携帯・PHS利用の有無、パソコン利用の有無、インターネット利用経験の有無別
内閣府/メディアとの接触状況1-3)新聞閲読時間-過去調査との比較(参考)
内閣府/メディアとの接触状況1-3)新聞閲読時間-年齢別、性・年齢別
内閣府/メディアとの接触状況1-3)新聞閲読時間-携帯・PHS利用の有無、パソコン利用の有無、インターネット利用経験の有無別
内閣府/メディアとの接触状況1-4)使用している機器
内閣府/メディアとの接触状況1-4)使用している機器(Q5)-性・年齢別
内閣府/メディアとの接触状況1-4)使用している機器-前回調査との比較
内閣府/メディアとの接触状況1-5)キーボードリテラシー
内閣府/メディアとの接触状況1-5)キーボード操作レベル(前回調査)-親調査との比較
内閣府/メディアとの接触状況1-5)キーボードリテラシー(今回調査)-親調査との比較
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-1)利用場所
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-1)利用場所-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-1)携帯・PHSの利用場所(Q7)-親調査との比較
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-2)利用頻度
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-2)利用頻度 ア)通話(発着含む)-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-2)利用頻度 イ)メールなどの文字通信機能-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-3)電話番号登録件数
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-3)電話番号登録件数-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-3)メールアドレス登録件数
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-3)メールアドレス登録件数-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-4)携帯電話・PHSの利用状況利用用途
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-4)携帯電話・PHSの利用用途(Q10) -親調査との比較
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-4)利用動機
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-4)利用動機-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-5)人との結びつき
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-5)人との結びつき-年齢別、性・年齢別
内閣府/携帯電話・PHSの利用状況2-5)意識、行動
内閣府/インターネットの利用状況3-1)利用経験
内閣府/インターネットの利用状況3-1)インターネットの利用経験(Q15)-親調査との比較
内閣府/インターネットの利用状況3-1)現在アクセスしている機器
内閣府/インターネットの利用状況3-1)現在アクセスしている機器-年齢別、性・年齢別
内閣府/インターネットの利用状況3-2)利用内容
内閣府/インターネットの利用状況3-2)利用内容-年齢別、性・年齢別
内閣府/インターネットの利用状況3-3)発信行動
内閣府/インターネットの利用状況3-3)発信行動-年齢別、性・年齢別
内閣府/インターネットの利用状況3-4)個人情報の公開
内閣府/インターネットの利用状況3-4)個人情報の公開(Q20)-性別、親調査との比較
内閣府/情報観等4-1)なくてはならないもの
内閣府/情報観等4-1)なくてはならないもの-年齢別、性・年齢別
内閣府/情報観等4-2)情報観
内閣府/情報観等4-2)情報観 ア)できるだけ広い範囲の人に自分の意見を知ってもらったり、作品を見てもらったりしたい-青少年調査と親調査の比較
内閣府/情報観等4-3)情報観
内閣府/情報観等4-3)情報観 ウ)たいていのことなら教師や親より自分の方が詳しく調べられる-年齢、性・年齢別
内閣府/情報観等4-4)有害情報への関心
内閣府/情報観等4-4)有害情報の種類
内閣府/情報観等4-4)制限内容
警察庁が2002年11月7日に公開したインターネット治安情勢の分析
米国警察による1992-2000の犯罪報告