有機物質の蛍光体薄膜を使った、電気を流すと発光材料と電子がぶつかって自ら発光する一種の発光ダイオードの総称。半導体などに使われているLED(発光ダイオード)とは違い、面状の発光体であることから、液晶表示装置(LCD)のようなバックライト(光源)が不要で、パネルも薄く消費電力も下げることが可能になる。また、応答速度も早く、残像が残らないという利点があり、高精細な動画表示に向いているといわれている。すでに1930年代に蛍光体を電極にはさみ発光させた実験で実証されていた。ただし、有機ELは、明るさや寿命の点から無機材料を使った発光体に劣るとも言われてきた。1987年に米国のイーストマン・コダック(Eastman Kodak)社のC.W.TangとS.A.VanSlykeによって、積層型構造を取り入れた有機蛍光色素を利用した有機発光素子が報告された。
詳細情報は「C.W. Tang, S.A. VanSlyke, C.H. Chen, J. Appl. Phys. 65 1989 3610.」または、「C.W. Tang and S. Van Slyke, ''Organic Electroluminescent Diodes'', Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)」で知ることができる。
有機ELには、低分子の有機材料を使うことが多く、米国のイーストマン・コダック(Eastman Kodak)社が基本特許を保有している。1992年には、山形大学工学部の長井勝利教授、城戸淳二助手らの研究グループが蛍光灯並みの明るさを持つ有機ELを開発し、赤青緑の3原色の発光体の開発が可能になったことから光コンピュータ、液晶テレビなどの分野で注目を集めた。
パイオニアは1998年10月に、カーナビや携帯機器、PDA機器、サブノート型PCなど各種機器用ディスプレの商品化を目指し、厚さ4mm程度の有機ELフルカラー・ディスプレイの開発に成功した。豊田中央研究所とセイコーエプソン基盤技術研究所は、1998年10月に微小光共振器を取り入れた発光特性を制御できる面状有機EL光源カラー・プロジェクタの試作に成功したことを発表した。
ソニーは2001年2月7日に、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transister)を採用したAM(Active Matrix/アクティブ型/薄膜トランジスタによるアクティブ・マトリクス構造)有機ELディスプレーを大型化するTAC(Top emission Adaptive Curent drive)技術を独自に開発し、厚さ1.4mmの薄型で、13インチ・フルカラーで画素数800×600の有機ELディスプレイを発表した。AM有機ELはTFT(薄膜トランジスタ)を使って、映像を構成する画素1つ1つの有機材料を駆動することから、高精細映像になる。ただし、実用化は2003年頃になるということである。詳細情報はURL(http://www.world.sony.com/JP/News/Press/200102/01-007/)で知ることができる。
東北パイオニア、半導体エネルギー研究所、シャープの3社は2001年2月21日に、AM有機ELディスプレイ用TFT基板の製造・販売を行う合弁会社を設立することで合意したと発表した。
また、無機ELディスプレイの研究開発で有名なカナダのiFire Technology社の業務担当副社長ジョセフ・バージニアらが来日し、ascii24編集部のインタビューで2001年2月22日に、2003年には30 40インチの大型ディスプレイを製品化するとこたえた。詳細情報はURL(http://www.ascii24.com/24/news/keyp/article/2001/02/27/623521-000.html?24b)で知ることができる。
東芝は、世界初となる2.85型Q-CIFの画像フォーマットで構成され、6ビット64階調の26万色フルカラー表示を実現した有機ELディスプレイの開発に成功したことを2001年5月30日に発表した。詳細情報はURL(http://www.toshiba.co.jp/about/press/2001_05/pr_j3001.htm)で知ることができる。
日本サムスンは2001年11月1日に、韓国サムスンSDI(Samsung SDI)社がモニタの解像度XGA(1024×768)でフルカラー(26万色)を実現した、15.1インチAM有機EL(アクティブ型有機EL)の開発に成功したと発表した。詳細情報はURL(http://www.samsung.co.jp/news/group/ng011101.html)で知ることができる。
三洋電機は2001年12月4日に、基本特許を保有しているEastman Kodak社と共同で合弁会社エスケイ・ディスプレイを設立し、三洋電機の低温ポリシリコンTFT LCDで培ったガラス基板上へのドライバー回路形成技術を活用して、有機ELディスプレイの主流になると予想されるAM有機ELの生産を開始すると発表した。詳細情報はURL(http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0112news-j/1204-1.html)で知ることができる。
さらに三洋電機は2002年3月2日に、世界で初めて2003年度中に厚さ1mm程度の超薄型有機ELテレビを発売する方針を発表した。米国のXerox社はカナダにあるXRCC研究所(Xerox Research Centre of Canada)でBeng Ongをリーダーにして開発されていた、シリコンウェハー上にエッチングによって電子回路パターンを形成するのではなく、プラスチック下層にダイレクトに電子回路パターンをプリントする手法を採用し、プラスチックシート1枚の薄さでPCモニタやTVスクリーン製造を可能にするポリチオフェンを素材に用いた有機ポリマーを2002年12月3日に発表した。詳細情報はURL(http://www.xerox.com/go/xrx/template/019e.jsp?id=NR_2002Dec3_POE&Xcntry=USA&Xlang=en_US&ed_name=News_POE)で知ることができる。
三洋電機と米国のイーストマン・コダック(Eastman Kodak)社の合弁会社で生産を担当するために、三洋電機岐阜事業所内にあるSKディスプレイは2003年3月3日に、共同で開発を進めてきたアクティブ型(薄膜トランジスタによるアクティブ・マトリクス構造)フルカラー有機ELディスプレイの商用出荷を世界で初めて開始したと発表した。詳細情報はURL(http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0303news-j/0303-1.html)で知ることができる。ソニーは2003年6月12日に、90億円を投資して月産能力30万枚の設備を設置し、モバイル機器向けSuper Top Emission(アクティブ型フルカラー有機EL)を2004年から量産すると発表した。詳細情報はURL(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200306/03-025/)で知ることができる。
半導体エネルギー研究所とエルディスは2003年10月29日に、188ppiで640×480ピクセル/26万色対応4.3インチ有機ELディスプレイパネルの開発に成功したと発表した。詳細情報はURL(http://www.sel.co.jp/)または、URL(http://www.eldis.co.jp/)で知ることができる。米国のeMagin社は2003年12月1日に、低電力、高精細SVGAを表示できるOLED(Organic Light Emitting Diode/有機LED)に関する特許を取得したと報告した。詳細情報はURL(http://www.emagin.com/pressreleases/prpat120103.pdf)で知ることができる。
京セラは2004年1月13日に、次世代モバイル機器等の表示装置として期待されている有機ELディスプレイの研究開発・製造・販売事業に参入するため、新会社「京セラディスプレイ研究所」を滋賀県野洲郡で設立し、2004年2月より本格稼動すると発表した。詳細情報はURL(http://www.kyocera.co.jp/news/2004/0102.html)で知ることができる。
NECは2004年2月27日に、有機EL事業から撤退する方針を明らかにした。韓国サムスンSDI(Samsung SDI)社と合弁で2001年1月に韓国蔚山広域市で設立した合弁会社サムスンNECモバイルディスプレイ(Samsung NEC Mobile Display)のNEC持株をSamsung SDI社に売却し、関連特許も譲渡して、有機EL事業から撤退すると発表した。詳細情報はURL(http://www.nec.co.jp/press/ja/0402/2702.html)で知ることができる。
産業技術総合研究所と日立製作所、光産業技術振興協会は2004年8月2日に、電子ペーパーなど次世代表示ディスプレイを低コストで提供できる技術として期待される有機TFTを駆動スイッチに用いた高精細カラー液晶ディスプレイの試作に成功したと報告した。試作品は、画面サイズが対角線の長さ1.4インチ(約3.6cm)、画素数6400で、精細度80ppi、画素サイズ縦318ナノメートル、横106ナノメートルで、カラー表示ができる。詳細情報はURL(http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040802/pr20040802.html)で知ることができる。
ソニーマーケティングは2004年9月14日に有機ELディスプレイを搭載した新製品「PEG-VZ90」を発表した。詳細情報はURL(http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200409/09-0914/)または、URL(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200409/04-048/)で知ることができる。
韓国のサムスン電子(SAMSUNG Electronics)は2005年5月19日に、40inchの有機ELディスプレイを開発したと発表した。詳細情報はURL(http://www.samsung.com/PressCenter/PressRelease/PressRelease.asp?seq=20050519_0000123644)で知ることができる。
三洋電機は2006年1月31日に、2005年7月5日に発表いたしました3ヵ年の構造改革「SANYO EVOLUTION PROJECT」、および2005年9月28日に発表したスリム化の加速施策としての「プログラムα」の進捗状況から、有機EL事業からの撤退を発表した。この撤退にあわせて、有機ELディスプレイの製造販売を担当するコダック(Eastman Kodak)社との合弁会社エスケイ・ディスプレイもEastman Kodak社が三洋に全株式を譲渡し、合弁を解消し、清算することになった。詳細情報はURL(http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0601news-j/0131-2.html)または、URL(http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/news/0106/ge310106.shtml)で知ることができる。
ワシントンポスト(WashingtonPost)が2007年4月12日に、ソニーが2007年末までに11インチのOEL TVを販売し始めることを計画していると言った。 スクリーンの厚さは3mm(0.12インチ)は有機材料のself-luminscentを利用する。 背面光を使用しないので、液晶ディスプレイ・スクリーンより少ないパワーを使用すると発表したと報告した。詳細情報はURL(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/12/AR2007041200480.html)で知ることができる。
tqualizerは、TシャツにコットンTシャツの胸部分にスペクトラムアナライザーを模した有機ELパネルが貼り付け、裾部分には音センサーを装備して音楽などに合わせ、パネルの光が上下する「T-Qualizer」を開発し、日本ではStrapyaNextがテスト販売を2007年4月16日から開始した。詳細情報はURL(http://www.tqualizer.biz/)または、URL(http://www.youtube.com/watch?v=SAwttny9mz8&eurl=http%3A%2F%2Fwww%2Etqualizer%2Ebiz%2Findex%2Ephp%3Fmain%5Fpage%3Dabout%5Fus)または、URL(http://www.rakuten.ne.jp/gold/keitaistrap/)で知ることができる。
Nanotechweb / Nano Letterは2007年4月12日に、米国のコーネル大学(Cornell University)の研究者のインタディシプリナリ・チーム(interdisciplinary team)がこれまでで最も小さい有機的な光を放つ装置の1つを開発したと報告した。「nanolamp」は、幅が200nmの合成のnanofibresで作られていて、フレキシブルなエレクトロニクスにおけるアプリケーションとセンサを開発できるかもしれないと報告している。すべてがますますより小さくなる。 さらに「nanolamp」でモニタを作れば、もうドットは確認できなくなる。繊維は、金属ルセニウムに基づく化合物で作られ、それらが放つ光の波長より小さい。 そのような局限光源は、フラットパネルディスプレイとチップの上の装置にまで及び、これまでの液晶テレビやプラズマTVが荒く感じる。
研究者は、「電気回転(electrospinning)」と呼ばれるテクニックを使用して、金属錯体の混合物、ルセニウムtris-ビピリジン(ruthenium tris-bipyridine)と、および重合体ポリエチレン・オキシド(polymer, polyethylene oxide)から繊維を回転させた。micropatterned電極を通した3〜4Vの低電圧で、小さい電球のように繊維はオレンジの光を放った。制作者は、従来の装置であるシリコンの断片に取り付けられる高画質石版のテクニックと比べて、電気回転ははるかに簡単で、これらの光の放射装置を比較的簡単な製作方法を使用することで作ることができたと報告している。詳細情報はURL(http://nanotechweb.org/articles/news/6/4/11?alert=1)または、URL(http://www.news.cornell.edu/stories/April07/electrospun.fibers.aj.html)で知ることができる。
[有機ELを解説しているURL]
●ITO/TPD/t-BuPBD/Alp3/Al多層積載構造有機ELの発光の様子とMBD(Molecular Beam Deposition)装置の写真がある京都大学大学院工学研究科電子物性工学専攻京大電子物性工学専攻藤田研究室のURL(http://fujita.kuee.kyoto-u.ac.jp/)
The Impact of the Transient Response of OLED on the Design of Active Matrix OLED Displays
有機EL素子の発光の様子(提供/京大電子物性工学専攻藤田研究室)
半導体が支えるマルチメディアの世界
マイクロプロセッサーの発達史
ソニーが開発したフルカラー有機ELディスプレイ
従来型電圧書き込み方式と電流書き込み型の比較
従来型構造とTop emission構造
米国エネルギー省が公表しているmap of cyberspace
米国エネルギー省が公表しているmap of the ecology of cyberspace
米国エネルギー省が公表しているmap of industrial power
米国エネルギー省が公表しているmap of democratic power
東芝が開発したフルカラー有機ELディスプレイ
米国の2001年エネルギー白書(US National Energy Policy May 2001)
韓国サムスンSDIが開発した15.1インチAM有機EL
米国のeTForecasts社が予測したPDAの未来シェア予測
ベル研究所のトランジスタの定義
XRCC研究所で開発したポリチオフェンを素材に用いた有機ポリマー
半導体エネルギー研究所が公開しているアクティブ・マトリックス駆動の有機EL画素の断面
eMagin社が2003年12月1日に発表した低電力SVGA表示OLED特許取得リリース
Illustrirte Zeitung1845年1月4日号に掲載された有機化学を体系化したJustus Liebig
Justus Liebigが研究していたGiessenn化学研究所の外観
Justus Liebigが研究していたGiessenn化学研究所の研究室
Illustrirte Zeitung1850年8月31日に掲載されたDubois Reymond物理実験
Illustrirte Zeitung1850年8月31日に掲載されたウサギの電気実験
Illustrirte Zeitung1850年9月7日に掲載された物理学者Christian Friedrich
Illustrirte Zeitung1850年9月7日に掲載されたBainの電子化学コピーTelgraphシステム
Illustrirte Zeitung1854年4月8日に掲載されたLouis Lacombe
Illustrirte Zeitung1854年4月8日に掲載されたBreslau王立化学研究所
産業技術総合研究所と日立製作所と光産業技術振興協会が試作に成功した有機TFT駆動カラー液晶ディスプレイ
Media Center Matrix
「PEG-VZ90」のリリースと有機EL
韓国のサムスン電子が開発した40inchの有機ELディスプレイ
三洋とEastman Kodak社が2006年1月31日に公開した有機EL事業撤退報告
YouTubeに登場した「T-Qualizer」
コーネル大学の研究者が開発した「ナノ・ランプ」
「ナノ・ランプ」の照射
光コンピューティング
液晶ディスプレイ
ダイヤモンド半導体
人工網膜チップ
球状半導体
強誘電体反射型マイクロディスプレイ
シリコン・ゲルマニウム・チップ
IPS(In Plane Switching)
無機ELディスプレイ
Roentgen
液晶先端技術開発センター
Strained Silicon
ペンタセン分子
Circadium
PowerMizer
オーセンティック・カラー
有機ラジカル電池
bionic eye
電子粉流体
薄く、自由に曲がるTFT液晶
薄く、自由に曲がるシート状基板
SGT(Surrounding Gate Transistor)
包括的産学融合アライアンス
電流ドライバ組込有機ELディスプレイ
薄く、自由に曲がるTFT液晶
薄く、自由に曲がるシート状基板
シート・ディスプレイ
BION
有機トランジスタ
ペンタセン分子
低次元集合系フォトニクス
3次元4重極質量分析計
SiC(Silicon Carbide)チップ
CLIE
electrowetting
n型有機薄膜トランジスタ