「文字コード」問題


JIS規格で定められている文字コードに関して、文芸評論家や作家たちが「JISでコード化された文字が少なすぎて自由に文章が書けない」「このままでは日本語が危ない」といった議論をマスコミで始め、浮上してきた問題の総称。詳細情報は、石川忠久・松岡榮志共著:漢字とコンピュータ、大修館書店、太田昌孝著:いま日本語が危ない---文字コードの誤った国際化、丸山学芸図書、「JIS漢字字典」(芝野耕司編著/日本規格協会)と「電脳文化と漢字のゆくえ」(平凡社編/平凡社)をとりあげ、古瀬幸広と家辺勝文が論評している「日経バイト」5月号の「ブックレビュー」というコーナー、週刊アスキーとASCIIDOS/Vイシュー(1998年4月号)、「中央公論」1998年3月号などが参考になる。ただし、言葉をはじめとする言語は不変ではなく、時間とともに変化し、永遠に完成しない文化である。例えばアインシュタイン(albert Einstein)は、相対性理論を説明するのに言語が不足しているという理由から、独自の文字を開発して実証したことがKristin Buehler-Oppenheim著:Zeichen, Marken, Zinken, Signs, Brands, Marks, Verlag Arthur Niggli,Teufen,1971で解説している。ただし、アインシュタインは、この文字を世界に広めようとする運動はしないで、相対性理論だけを発表している。Hans Jensen著:Die Schrift in Vergangenheit und Gegenwartでは、それぞれの時代によって表記される文字の変化が説明され、1903年にイギリスの探検家がアフリカのカメルーンの近くにあった有名なニヨア(Njoya)王が独裁していた国を訪ねたとき、独特の文字(後日、Bamun文字と命名された)があり、世界中に新しい文字が発見されたと報道された。しかし、その探検家はニヨア王が1932年に亡くなってから、再度その国を訪ねたとき、その文字はすでに消滅し、使用されていなかった。つまり、ニヨア王1代だけに使用された文字として知られている。この文字は後に研究され、短期間でどんどん変化していったことでも知られている。初期のBamun文字で書かれた文書は発音もでき、翻訳すると「王が言うには、Neがくれた手紙は読んだ。王とその兵隊達、王の息子は3日間病気で、その病気はすごく重病だった」と書かれているという。現在漢字圏で使用されている文字の基本は秦の始皇帝が作らせた文字であるということが通説になっているが、同時に多くの時代に独裁者の顕示欲のために使われてきているともいえる。つまり、文芸評論家や作家がJISでコード化されていない文字を使用しないと、十分に表現できない場合は、独自でその文芸評論家や作家が文字を作ればよく、それを国にまで認めさせると言うこと自体横暴で、独裁主義にもなりかねないといえないだろうか?また、その文字をネットワークで使える環境がないということであれば、画像で使用することも可能で、文字コードにまで影響させることが全世界を平和にするとは考えにくい。フランスでも最近、電子メールの使用頻度が高くなり、アクサンティギユがドイツ語のウムラウトのように置き換える方式を持たないため、削除して使用することが多くなってきている。つまり、マシンを全て自分の思うような環境にするのはその使用者が自分で構築し、他人の領域まで侵略しようとすること自体に疑問が残る。マシンの環境に自分の思考範囲を限定することも必要ではないだろうか?コンピュータの発達は往々にして、完全をマシンの開発を望む声に変換されることが多いといえる。しかし、文字や言語と同様に、コンピュータもまた永遠に完成しないマシンであるという考え方の方がこの問題を扱いやすいように思える。文字コードをどんどん変化させ、文字化けして読み出さなくなった文字が出た場合、それは1種の「デジタル情報の劣化消滅」にまで発展し、さらに大きな問題が起こることになりかねない。符号化文字集合(JCS)調査研究委員会では、7または8ビットの2バイト文字コード規格としてJIS漢字の拡張計画を実施しているが、拡張すべき漢字の選択は経験的弁証法による決定がなされているようで、根拠を明確にした科学的弁証法が採用されていないようである。また同時に新規に拡張するに当たって、JIS規格の1983年と1990年の改訂と国語審議会の決定を独断と権威による標準化という立場をとっている人がいるようであるが、経験的弁証法を採用した場合にも同様の危険性は充分あり、別組織が実施した作業を否定しつつも、現実には組織同士における権威主義の台頭が大きな決定結果を生む危険性がある。とくに符号化文字集合(JCS)調査研究委員会のメンバーには多くの企業からの代表者が参加し、それぞれが主張をするような団体を形成していることから、JIS規格の1983年と1990年の改訂と国語審議会の決定を否定した段階で、矛盾が発生してきていることから、次世代では再度否定される可能性を含んだ標準化作業が進んでいるといえる。できれば科学的弁証法を採用し、経験主義はそれをサポートする程度にする必要があり、明確な科学的弁証法の分析方法を公開し、その分析法に矛盾した場合には分析方法の改訂を経験的弁証法でサポートし、分析方法の高水準化を目標にすべきであり、企業団体からの発言に関してもその分析方法の改訂という作業で対処すべきである。その分析方法が経験主義では、誰も説得できる基準ではなく、独断と偏見がその作業に含まれた場合、それは単に団体からの提案であり、実際の標準として採用されたときには、すでに権威主義や立場主義といった以前に同団体が否定した標準と同じ失敗を繰り返すことになり、日本語を使用する環境を混乱させただけの団体になることだろう。言語や文字は時代とともに変化する生物のような性格があることから、標準化作業自体が時間軸を停止させる機能を持つことからの矛盾は永遠に付いて回ることだろう。このような作業の工程で、諸橋大漢和辞典に取り上げられた漢字を基本に考えるという作業が多く採用されているようであるが、諸橋大漢和辞典自体が個人作業により体力とともに構築され、その結果を強制するのではなく、買いたい人は有料で購入し、否定する人は購入しなければ済むというフレキシブルな立場をとっている。しかし、これが日本語環境における漢字の標準であるという強制力を持った場合、残念ながら諸橋大漢和辞典の意図から離れることになる。多くの場合、このような偉業に名を借りた作業が多く存在しているが、それを日本語標準化の支柱にすることは、「虎の威を借りた----」になりかねず、諸橋大漢和辞典の冒涜といえる。中国情報局は2006年8月12日に、大木章のコラム「漢字文化圏と日中両国で学び使われる漢字の諸事情」を公開し、漢字を公用語として、過去または現在使用している国々を漢字文化圏といい、中国、日本、ベトナム、韓国、北朝鮮などであるが今も漢字を使っているのは、中国と日本だけでであり、ベトナム、韓国、北朝鮮は漢字を放棄し、独自の文字を今は使っていると報告した。その理由として、日本だけは海を隔てていることを指摘した。また、中国と日本の漢字教育について、中国では教える漢字を通用漢字表と言い、1956年に5448字が決められ、小学校6年間で、常用字1500字、次常用字2015字が教えら、不常用字として1922字(姓名・地名・専門用語)があり、通用漢字は後に500字が追加され、高校卒業までに計6000字を教えられ、日本では小学校6年間で約1000字、中学3年間でさらに約950字で、人名漢字が285字あるが、中国では日本の3倍の漢字を教えられると報告している。詳細情報はURL(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0812&f=column_0812_008.shtml)で知ることができる。新しいフォントを制作するには、日本の3倍の労力を必要とすることにもなる。ただし、JIS漢字コードでは、ビジネス文書に多く使われる文字を中心に構成されるJIS第1水準漢字(2965字)と、人名などの固有名詞や旧漢字を含むJIS第2水準漢字(3388字)の合わせて6355字が定義されている(C6226-1983)。これらの結果から、日本も中国もフォントを作るときは約6000文字になり、日本語の場合は輸入した時期により発音が異なり、一つの漢字に複数発音があることから、さらに複雑にしているとも言える。

[関連URL]
●JIS X 0208 の拡張規格に関するURL(http://jcs.aa.tufs.ac.jp/)
●文芸評論家の加藤弘一さんのURL(http://www.horagai.com/www/salon/)
●山本太郎の文字コードに関する最近の議論についてのURL(http://www.kt.rim.or.jp/~tyamamot/charcode/onchar.html)
●イーストウェストのJapanLinkページにある「日英対訳日本文化キーワード事典」で日本文化を日本語と英語で紹介のURL(http://www.japanlink.co.jp/)
●変な字体を集めた「俗字の字典」のURL(http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/html/zokuji.htm)
●和製漢字の辞典のURL(http://member.nifty.ne.jp/TAB01645/ohara/index.htm)
●JIS漢字のURL(http://member.nifty.ne.jp/shikeda/jiskanji.html)
●諸橋大漢和辞典の初版縮写版と修訂版の間の差のURL(http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/html/daikanwa.htm)