富山県立近代美術館裁判

大浦コラージュ裁判

天皇の肖像の利用に関して、作家と富山県立近代美術館の間で正面から争われた美術作品に関する裁判の名称。この裁判に関しては、天皇制を指示する右翼の圧力があり、富山県立近代美術館は昭和天皇の肖像を使用した版画作品を非公開にし、さらにはこの作品が出品された際に制作された展覧会のカタログも、他に多くの作家の作品が掲載されているのもお構いなしに非公開にし、作品の売却、在庫のカタログをすべて焼却するという著作権も作家の人権も全てを無視した保身主義に対して争われた。裁判所は特別観覧の不許可処分を違法とし、図録の閲覧請求の不許可についても違法とした。その結果、特別観覧請求と図録の観覧請求をおこなった原告に限り、損害賠償を認めた。また、裁判所は、公開派、非公開派の対立により管理運営上の障害があるために、非公開、売却・焼却にしたという被告の主張は、根拠がないということで認められず、また、作品が昭和天皇のプライバシー権、人格権を侵害する疑いがあるという被告の主張に対して、天皇のプライバシー権は、一般の私人にくらべてより制約される、さらにこの事件に関係した作品についてはプライバシー権侵害の疑いはないと判断した。ただし、裁判所は、売却、焼却処分の違法性について、被告の裁量に属すると判断し、大浦さんの権利侵害についても特に作者に対する権利侵害はないと判断し、作品の買い戻し、図録の再版については、被告に義務づけることはできないとも判断した。原告側は控訴をさらに確実であるため、次回の控訴審に向けて準備している。このようなことが起こると、一般にそのような作品を優先的に掲載しようという美術館は少なく、保身になり、無難な作品で人生をうまく生き抜こうという美術館が多く登場する傾向があり、それでは日本の美術館は芸術を扱うのではなく、政治の展示館と言うことになってしまう。とくに芸術活動はスペインが独裁政治から開放され、本当の意味で平和になるまではニューヨークの近代美術館(the Museum of Modern Art New York)からスペインに持ち帰ることを拒否していたピカソ(Oablo Ruiz Picaso/1881 1973)のゲルニカ(Guernica/1937)や、王の家族の肖像をブタに似せて描いたゴヤ(Francisco Goya y Luicientes/1746 1828)のチャールズIVの家族(The Family of Charles IV/1800)などに代表されるように、政府に反抗し、国家に反旗を振り、国王を卑下するような作品はこれまでにも多く作られ、それらの作家を国家や政府、王族などから保護し、守ってきた欧米の美術館に比べ、政府や国家の言いなりになる美術館は、文化意識も低いといわざるおえない。これに似た現象は第2次世界大戦のときにヒットラーが、ひたすら強い筋肉美とたくましさを求めた美術作品や作家を招聘した現象に似ている。このような展覧会は既に1930年代頃から開催され、その判断は全て美術館などの学芸員の知識と采配に任されてきた経緯があり、それらの責任も同時にその学芸員の責任において実施されてきている。関連資料としては1937年にドイツで開催されたErartete Kunst(Degenerate Art/退廃芸術)の展覧会カタログが有名である。ただし、天皇の肖像を利用した作品については、作品選択時にそれらを排除することはその美術館なり、博物館の学芸員の考え方であり、企画内容によっては選択しないようにすることもありうる。しかし、一旦展示し、カタログまで作ったにも係わらず、反対意見があったため排除し、消却してしまったということになれば問題は別である。その美術館の思想や哲学、姿勢はどうなっているのか理解できなくなる。圧力に屈したのであれば美術館の存在意義自体にまで波及する問題といえる。つまり、学芸員という肩書きをもった富山県庁の管理人しかいなかったことになり、学芸員不在の美術館といえる。最近、文化だ!ということでやたらに国民の血税を利用した美術館や博物館が増え、その多くには学芸員という肩書きを持った人がいると聞くが、本当の意味での学芸員ではない人が肩書きだけで存在しているのであれば、国民の税金で支払われた給料の取得は詐欺行為であり、その美術館や博物館が県や国が作った公立の場合、国や県が国民に対して詐欺を働いたことになりかねない。ただし、ここで注意することは、大学で学芸員の勉強をしたことがあるから、学芸員であるという短絡的な弁解で言い逃れしようとする人も多すぎることである。学芸員とは肩書きではなく、展示会などを開催するためのバックボーンとして働く重要な仕事をこなす人で、しっかりした考え方がなければ勤まらない仕事であることが十分に理解されていない。今回のような事件の原因はそこらにありそうである。名古屋高等裁判所金沢支部は2000年2月16日に、二審の控訴審判決が下され、一審では、原告の「特別観覧」申請(収蔵庫の作品の鑑賞制度)や図録の情報公開の被告による不許可を違法とした判決であったが、二審では、公開派や作品破棄派の抗議行動を理由に、「特別観覧制度を利用して本件作品を損傷しようとする者が紛れ込む可能性が否定できない」と述べて、特別観覧の不許可を適法とした。作品の天皇の人格権侵害は退けたが、憲法に保障された知る権利は本件では否定された。そして、民主主義の根幹である抗議行動を不当な行動であるかのようにみなし、違法性のない作品や図録の処分を正当化する民主主義を否定する結果となった。2000年10月27日、最高裁第2小法廷(亀山継夫裁判長)は「単なる法令違反を主張するもので上告理由に当たらない」と作者らの上告を棄却する決定を出し、作者らの訴えを退けた名古屋高裁金沢支部判決が確定した。

[確定後の原告事務局コメント]

最高裁の不当な判決に私達は大きな憤りを覚えます。判決は、表現の自由を軽視し、行政の不当な介入、恣意的な権力行使を容認したもので、まったく信じられない思いでいっぱいです。この結果、売却された作品と焼却された図録がふたたび鑑賞者を得る機会は永遠に失われました。

しかし、私達はこの不当な判決に屈するつもりはありません。この国の表現の自由を獲得するまで決意を新たに闘い続ける所存です。

2000年10月27日


遠近を抱えてno.VII/富山県立近代美術館によって売却された作品。リトグラフ/シルクスクリーン(77×57cm)
遠近を抱えてno.VIII/富山県立近代美術館によって売却された作品。リトグラフ/シルクスクリーン(77×57cm)
遠近を抱えてno.IX 富山県立近代美術館によって売却された作品。リトグラフ/シルクスクリーン(77×57cm)
遠近を抱えてno.X/富山県立近代美術館によって売却された作品。リトグラフ/シルクスクリーン(77×57cm)
遠近を抱えてno.I/富山県立近代美術館が作者に寄贈要請しながら後に返却した作品。リトグラフ/シルクスクリーン(55×77cm)
遠近を抱えてno.II/富山県立近代美術館が作者に寄贈要請しながら後に返却した作品。リトグラフ/シルクスクリーン(55×77cm)
遠近を抱えてno.III/富山県立近代美術館が作者に寄贈要請しながら後に返却した作品。リトグラフ/シルクスクリーン(57×77cm)
遠近を抱えてno.IV/富山県立近代美術館が作者に寄贈要請しながら後に返却した作品。リトグラフ/シルクスクリーン(57×77cm)
遠近を抱えてno.V/富山県立近代美術館が作者に寄贈要請しながら後に返却した作品。リトグラフ/シルクスクリーン(77×57cm)
Webショップのプライバシーに対する情報掲載
インターネットを活用した収入額別の割合
インターネット・ショップの継続年数と全体の割合
NCLのプライバシー問題報告
CSLRが公表した日本人のオンライン・プライバシー楽観主義
E-Mailと著作権
1470年にニュールンベルグで制作された「知識の塔」
1548年にベルリンで制作された「法則の塔」
1500年頃に制作された鞭を持つ先生と8人の生徒
1592年に制作されたW.L.Schreiber Potsdamの教育現場
ロバに例えられた17世紀の教育
IPSOS Reidの世界のオンライン詐欺情報
Harris Interactiveが公開したプライバシーとプロテクション情報
e-Learningとして利用されているツールや状況
SIIAとKPMGが公開した、インターネット経由の著作権侵害調査報告
GAOによる2001年10月16日のバックボーン・マーケットの調査報告
米国の博物館と図書館レポート2002
IFPIの「Music Piracy Report 2002(音楽海賊版レポート2002)」
米国の政府情報システムの目的資料の見つけやすさについて調査報告書
産業構造審議会知的財産政策部会第1回特許制度小委員会での配布資料
産業構造審議会知的財産政策部会第1回特許制度小委員会報告書
The Art Newspaper.comが発表した2002年展覧会入場者ランキング
Illustrirte Zeitung1849年5月26日に掲載された腕白小僧のしつけ風景
Illustrirte Zeitung1854年5月13日に掲載されたLouis Lucian Bonaparte
Illustrirte Zeitung1854年5月13日に掲載されたFrankfurtアート研究所
Illustrirte Zeitung1854年5月13日に掲載されたウィーンのArtilleriearsenals Wien
Illustrirte Zeitung1854年5月13日に掲載されたウィーンのArtilleriearsenals Wien図面
Illustrirte Zeitung1856年1月26日に掲載されたカントの考える石
カント風の店
フーバー研究所のレポート「Education Next」

富山県立近代美術館裁判一審判決原告事務局声明文
裁判所の富山県立近代美術館裁判一審判決要旨
著作権
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デジタル映像の著作権保護
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知的所有権担保融資
著作隣接権
知的財産権
BMI
電子の透かし
深水歩黄金商場
WIPO
グラフィックマン
PictureMarc
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21世紀の知的財産権を考える懇談会報告書
インターネット弁護士協議会
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