ビットとは、デジタルで構成された単位であり、実態をつかむことは一般に不可能と言われている。しかし、そのビットも表現の方法によっては実体として把握できるようになる。また、アラン・ケイ(Alan C. Kay/1940〜)に誘われて、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT/Massachusetts Institute of Technology)のニコラス・ネグロポンテ(Nicholas P. Negroponte 1943 /米国情報機関の重鎮になったJohn Negroponteと兄弟である)所長の率いるメディア・ラボ(Media Labo/MITメディア研究所)に参加した、日本人初の研究者の石井 裕(Hiroshi Ishii)準教授が中心になって、コンピュータのユーザー・インタフェースを実体のある情報表現に置き換えるというコンセプトで研究しているプロジェクトの名称でもある。詳細情報はURL(http://tangible.media.mit.edu/)で知ることができる。「Tangible Bits」というと耳新しいが、つまり情報という目に見えない「ビット(bots)」を物理的に表現することになる。このような研究は古く、もっとも身近なモノとして、目に見えない空気の気圧を視覚的にした「天気予報図」や、目に見えない音情報を視覚的にした「楽譜」なども見えないモノを物理的に表現した事例であり、それをコンピュータのユーザー・インタフェース「ビット(bots)」に置き換えたことになる。例えば、モニタ上でマウスを使って操作するGUI環境によって、視覚的にビットを認識できるようになり、さらに、それを触覚センサーなどを利用して、立体的な彫刻として把握できるようにすることも可能になってきている。これまでユーザー・インタフェースはキャラクターを活用し、コマンドやキー操作で入力するCUIを使った世界から、マウスとアイコンなどを活用したGUIの世界に移行し、一般ユーザーは飛躍的に親しみやすいコンピュータ環境を手にしたことにより、専門分野のコンピュータから、かなり大多数が利用できるコンピュータの世界を開拓した。さらに万民が無意識にコンピュータの世界を利用できるようにするために、未来のユーザー・インタフェースとして登場した1つの提案が、「タンジブル・ビット」といわれている。つまり、手につかみ操作できる物理オブジェクトとデジタル情報をリンクさせ、ビットを実体として認識できるインタフェースこそが、「タンジブル・ビット」といえる。東京西新宿の初台にある東京オペラシティのNTTインターコミュニケーション・センターでは、石井裕準教授が中心になって、2000年6月23日〜7月9日まで、「ICCオープン・スタジオ タンジブル・ビット」展が開催され、インタラクティヴな表面:机、壁、天井、ドア、窓などの、建築空間の表面を、物理世界とデジタル世界とのアクティブなインタフェースに変換する作品として「I/Oバルブ」「ストラタ/ICC」「タッチカウンター」「クリアボード1」「ピンポンプラス」アンビエント:建築空間の中の音、光、影、空気の流れ、水の動きなどのアンビエント・メディアを認知の周辺に位置する、サイバー・スペースとのバックグラウンド・インタフェースとして利用する作品として「かざぐるま」。タンジブル:手につかみ操作できる物理オブジェクトとデジタル情報をリンクする作品として「トライアングル」「ミュージック・ボトル」「カーリーボット」「ハンドスケイプ」「インタッチ」が展示され、講演会が実施された。詳細情報はURL(http://www.ntticc.or.jp/Calendar/2000/Tangible_Bits/index_j.html)で知ることができる。